「相手の機嫌を変えようとして振り回されてしまう」
「どうしても相手に関心を持ってもらいたいと思ってしまう」
本記事では、他人への執着を手放せない理由とその解決方法について解説していきます。
他人への執着を手放すために「してはいけないこと」
それは、
「わかってもらいたい」という思いを持ち続けてはいけない
ということです。
そもそも他人への執着を手放すことが難しい大きな理由の1つには、心の底の「不安」があります。
たとえば、
- 不機嫌な人を見ると、なぜか不安になる
- 「自分はあの人から見捨てられてしまうかもしれない」と不安になることがある
このような不安が強い場合、その不安から逃れるためには、主に2つの方法が考えられます。
- その不安と向き合う
- 不安になった人や環境を避ける
しかし、不安と向き合うことも、その相手や環境自体を避けることも出来ない場合、
相手の機嫌を良くすること
によって不安から逃れようとする方法が考えられます。
これは特に、幼少期に不機嫌な親に対して、機嫌を取ることが上手くいった経験のある人は、
「自分の言動によって、他者は変えられる」
と無意識に思ってしまう傾向があるためです。
たとえば、
- 明らかに自分が悪くなくても、自分が謝ることで親の不機嫌が治まった
- 自分の思い通りにならないときに、怒りを出すことで親が言うことを聞いてくれた
そして、そのような人はすぐに他者への執着を手放すことが難しい場合があります。
それは自他境界があいまいである可能性が高いからです。
>>>「私、嫌われているかも」と悩むのは、自他境界の曖昧さが原因!?
「相手を変えたい」という執着を手放すには、自分の過去を知る必要がある
では、なぜそこまでして他人を変えたいと思ってしまうのでしょうか。
そこには「学習性無力感」というものが関係している場合があります。
学習性無力感とは、
長期間または何度も、苦痛やストレスから逃れられない状況にさらされた場合、
そこから逃れようとする意欲自体を失ってしまう心理現象のことです。
これは子供時代に、親に対して強い恐怖心を長期間にわたって感じ続けてきた場合に、生じる可能性があるものです。
- 「自分は何をしても、親の突然の怒りを抑えることはできない」
- 「もう自分がどう思おうと、親の言う通りにだけするしかない」
そして、この学習性無力感は、モラルハラスメントの一種であるダブルバインドという接し方をされることでも生じる場合があります。
ダブルバインドとは、
矛盾のあるメッセージを含んだコミュニケーション
のことで、どう反応しても不快な気持ちから逃れられないことが特徴です。
たとえば、突然、親から「なんで私の言うこと聞かないの!」と怒られた場合、
- 「違う!」と言っても相手にされず、責められる
- 「ごめんなさい」と受け入れても責められ、かつ自己嫌悪に陥る
- 黙り込んでも怒鳴られ、責められる
このように
「自分は何をしても親の不機嫌を良くできないし、逃げることもできない」
という無力感に打ちのめされると、子供は親に執着せざるを得なくなります。
それは、小さな子供はもちろん親なしで生きていくことはできないため、親から逃げるのではなく、親を変えようとするわけです。
- 「どうすれば親を機嫌よく変えることが出来るだろうか」
- 「どうすれば親に自分に悪気はないと分かってもらえるだろうか」
それしか無力感に陥っている子供には方法がないからです。
>>>ダブルバインドとモラハラは密接な関係!その事例と対処方法
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他人へ執着してしまうのは、安心感が欲しいから
他人への執着を手放すことができない人の中には、
「自分の意志を曲げてでも、相手に合わせてしまう」
という場合があると思います。
- 相手の機嫌をとるために、わざと物事を知らないフリをする
- 本心では思っていなくても、相手の気持ちに同調する
このような自分自身の本位ではない言動・振舞いをしてしまう理由は、
「相手の機嫌をとることで、安心感を得たい」
からです。
これまで親の不機嫌に振り回されてきた人にとっては、無力感によって常に不安でいっぱいなわけです。
そのため、他人の機嫌にも敏感になってしまい、相手の機嫌が保たれることで一瞬の安心感を強く感じるはずです。
そうなると、その一瞬の安心を得たいと相手に執着してしまうわけです。
また、同時に自分のちょっとした発言や振舞いが、他人の機嫌に大きく影響すると思い込んでしまっている場合もあります。
それによって、相手が不機嫌だと感じた際に
「自分に悪気はないと分かってほしい」
と不安な気持ちから、結果的に執着を手放すことが難しくなるわけです。
「分かってほしい」という気持ちを軽減するには
他人への執着を手放すためには、まず「分かってほしい」と思っている相手が、
あなたの気持ちを分かる気がある人なのか
を一度考えてみることです。
そもそも、何を言っても理解しようとする気がない人には、何を言ってもムダになってしまいます。
特に、相手が先ほど述べたような、ダブルバインドをしてくるような人の場合、自分の気持ちを分かってもらうことはかなり難しいと思います。
また、自分が持っている「分かってもらいたい」という気持ちの裏にある「不安」と少しずつでも向き合うことが大切です。
そのためにも、自分が現在、陥っている可能性のある
- 自他境界のあいまいさ
- 学習性無力感
などの心理をより詳しく知ることが、その近道となるはずです。