「あの人に嫌われたのかもしれない」という見捨てられ不安に襲われると、本当に苦しい
そんな不安が日常的に生じれば、誰でも精神的にまいってしまいますよね。
そして、よく考えると「あの人」に嫌われたり、見捨てられたとしても別に
- 大金を失う訳でもない
- 会社をクビになる訳でもない
しかし、理屈では分からない「何か強烈な恐怖心」が出てきてしまうのは、とても苦しいことです。
本記事では、そんな見捨てられ不安に振り回される理由と克服方法について解説していきます。
なぜこれほど見捨てられ不安はすぐに克服するのが難しいのか
不安の根底には「人間不信」があるから
見捨てられ不安に悩まされる原因は、基本的に人を信じることが出来ていないからです。
それが生きづらい人生を歩まざるを得ない原因の一つにもなっています。
他人を信じられないからこそ、例えば、相手に気に入られたかどうかを気にしてしまい、
-
自己犠牲的な振舞いをしてしまう
-
相手の気持ちを深読みするクセがついている
という可能性があるんです。
ではなぜ人を信じられないのでしょうか。
それは、自分の中でその相手に対する印象がコロコロと変わってしまうためです。
人間・世界に対する安心感を得られなかった
他者に対する印象がコロコロ変わってしまうとは、どういうことなのでしょうか。
それには「対象恒常性」と呼ばれるものが関わっています。
この対象恒常性とは、
「自分の目の前から母親などの対象がいなくなっても、世界から消えたわけではないと思える感覚」
のことです。
何を当たり前のことを言っているんだ!と思われるかもしれませんが、誰しも生後2、3歳までは、この感覚は獲得されていません。
だからこそ、幼少期特有の
「目の前から親が消えただけで、この世界から親が消えてしまった」
と錯覚する感覚を利用することで「いないいないばあっ!」という遊びは成立するわけです。
そして、成長するにつれ、
「たとえ目の前の母親が怒っていても、優しい母親がこの世から消えた訳ではない」
と理解できるようになります。
しかし、
- 母親の態度や機嫌に一貫性がない
- 自分自身が、生まれつき他者の感情などへの過敏体質
このような理由で、安心感を感じにくかったりする場合、安定した母親像を心の中に築けないことがあります。
そうすると、ちょっとしたことで見捨てられ不安に襲われやすくなり、
- 他人の感情の責任を取ろうとしてしまう
- 何でも自分のせいだと思ってしまう
などの苦しい思いをしがちになってしまうんです。
>>>相手の不機嫌を自分のせいだと思い怖くなる人が知るべきこと
「会っていない間に嫌われているかもしれない」という恐怖
幼い頃に「母親」という安定したイメージを抱けなかった場合、他の全ての人に対する他者イメージも不安定なものになりやすくなります。
たとえば、会社の同僚と良い感じで別れて帰宅した後で、相手とのやり取りを思い返し、
- 「もしかしたら、あの時の自分の発言で気を悪くしていたのかもしれない」
- 「あの人は気を遣って態度に出さなかっただけかもしれない」
このように、
会っていない時間に自分の中で相手に対する印象が不安定になってしまいやすい
という理由も「安定した他者イメージ」が築けていないことと関係しています。
そうなると、相手に対する印象がその時々によって、
自分のことを分かってくれる優しい人
or
本当は分かってくれない酷い人
仕事の成果を認めてくれる人
or
少しのミスで見捨ててくる人
このような極端な二面性でしか相手を捉えられなくなりがちになります。
つまり、何かあるたびに相手の印象が、良いか悪いかのどちらか一方に振れてしまうということです。
そうなるといつも対人関係において、見捨てられ不安を抱えることになる訳です。
人間誰しも状況に応じて、またその時の機嫌などでも態度や言動は変わるのは当たり前です。
しかし、安定した他者イメージが築けていない人の場合、結果的に不安感から他人に対して、
- しつこく嫌われていないかを確認したくなる
- 常に一緒にいないと極度の不安に陥ってしまう
- 相手を責めてしまいそうになる
など不安感に振り回されてしまいます。
この不安感こそが、見捨てられ不安の正体です。
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見捨てられ不安を克服するには「安全基地」が必要
相手の印象がコロコロ変わってしまう根本原因には、
心の中の安全基地が不安定、または十分に出来上がっていなこと
が挙げられます。
この安全基地とは、自分の心の支えとなる他者のイメージのことです。
この他者に対して安心感を抱ける元となる安全基地というものが、見捨てられ不安を克服するためには必要不可欠となります。
しかし、大人になってから、この安全基地を一から構築することは簡単ではありません。
なぜなら、子供と親の関係と違い、大人同士の関係性の中では利害関係が強すぎて、無条件の安心感を得にくいからです。
また、カウンセラーなどでも、やはり相手との相性がすごく良くない限り、安心感を急に抱くことは難しいものです。
思考の中で安全基地を創っていく
本記事でオススメする方法は、まずは誰かとの関係性の中で安心感を得る方法ではなく、
「自分の思考の中で安心感を創り出す方法」です。
これは空想の中で自分の求める安心できる人をイメージする方法です。
自分が辛い時、苦しい時、嬉しい時に、
自分の中の理想の「母なる存在」はどんな振舞いや言葉をかけてくれるだろうか
そういったイメージを可能な限りリアルティを持って感じる必要があります。
それは人間の脳はリアルティを感じるものを現実だと捉える性質があるためです。
そのため、リアルティを得やすい方法として、ドラマや映画の中の登場人物の中から理想の人物を選び、頭の中で対話してみることも有効です。
ドラマや映画の人物は、極端に母性や正義感溢れる人物像として描かれています。
しかし、ここではその方がむしろ安全基地を構築するには好都合です。
すでに「良い人」の面しか描かれていないため、見捨てられ不安が強い人が陥りやすい
「他者の”良い面”と”悪い面”に揺さぶられる」
ことが少ないためです。
見捨てられ不安は自分を守るためでもある
心理的な安全基地を持っていない、見捨てられ不安に駆られてしまう人にとっては、現実の対人関係はあまりに残酷な環境です。
なので、悩んで苦しんで当然です。
だからこそ、焦らず、少しずつ自分の中に安全基地を創っていきましょう。
また、そもそも見捨てられ「不安」とは、
心の中に葛藤がある状態で、その葛藤によるストレスがとても強い状態
とも言えるんです。
そして、この葛藤があまりに強いと「スプリッティング」という作用が働いて、自分の心を守ろうとします。
その結果、他者を敵か味方かでしか捉えられなくなったりもするわけです。
見捨てられ不安を軽減する手段として、色々な知識を知っておいてほしいと思います。