他人の何気ない言葉や態度で傷つきやすく、人と関わるのが怖い
傷つきやすいと、日常のちょっとしたことで心が凹んでしまうことが多くなりますよね。
そうなれば、誰でも人と接することが苦痛になってしまうものです。
本記事では、人と関わるのが怖くて傷つきやすい自分を変えたいと悩んでいる方へ、そんな辛さを軽減する方法について解説していきます。
人と関わるのが怖い…その原因は自他境界を引けないことにある
人付き合いが怖いという気持ちの根底には、人と接するたびに、
自分の存在価値が、脅かされる
という恐怖心があるからです。
ではなぜ自分の存在価値が脅かされるのかといえば、人と関わるのが怖いという人は、
「他人の否定的な言葉や態度」と「自分の存在価値」が関連付けられている
という感覚を持っているからです。
たとえば、
「仕事のミスを上司に叱られること」
と
「自分の存在価値」
これらは、お互いに全く独立した無関係なものです。
それにも関わらず、
仕事のミスを上司に叱られると、自分そのものを否定されたように感じてしまう。
名誉棄損や人格否定などの暴言を除いて、
本来は他人が何をどう思おうが言おうが、それは他人の心の問題なわけです。
自分とは無関係なもののはずなんです。
しかしそこに関係性を感じてしまうのは、自分と他人の心の境界線である「自他境界」がうまく引くことができていない可能性があるんです。
自他境界があいまいだと生じる苦労
自他境界があいまいだと、下記のような問題が起こりやすくなります。
- 「他人の心に映る自分」と「現実の自分」の区別がわからなくなる
- 他人の不機嫌の原因が、自分にあると感じてしまう
- 自分の考えや価値観と同じものを、他人も持っていると思い込む
これでは他人の意見や態度に、いつも振り回されて傷ついてしまいます。
このように自他境界をきちんと引けていなければ、人と関わるのが怖いと感じてしまうのは当然と言えます。
>>>自他境界(バウンダリー)を引ける人と引けない人の決定的な違いとは
人と関わるのが怖い気持ちを軽くするために知っておくべき事実
人付き合いが怖いという気持ちを軽くするためには、下記の2つの事実を押さえておく必要があります。
- 「他人の意見や態度」と「自分の人格」をいつも関連付けているから辛い
- 自分の考え方や価値観だけで、他人の悪意を決め付けるから辛い
それぞれ解説していきます。
1.「他人の意見や態度」と「自分の人格」をいつも関連付けているから辛い
まず他人が何を言おうとも、相手の意見や態度は、自分の人格とは一切無関係だということを押さえておきましょう。
たとえば、仕事でミスをして上司に叱られた場合、
人によっては平気であからさまに人格否定をする人もいますが、多くの人はたとえば、
- 「仕事でミスをした」という行為そのもの
- 「反省の言葉が足りない」という発言そのもの
これらに対して否定をしているだけで、人格までは否定していないんです。
しかし、ここで自分自身が、
「自分は誰もミスをしないところで、ミスをするようなダメな人間だ」
という自己イメージを持っていると、その相手の言動と自分の人格を、結び付けて考えてしまうわけです。
その結果、
仕事をミスして上司に叱られた
↓
自分はダメな人間だから叱られたに違いない
↓
だから上司も自分の人格そのものを否定しているに違いない
このように解釈してしまうからこそ、人と関わるのが怖いという思いが強くなってしまうんです。
「ミスしたという行為に対する否定を、人格への否定と捉えるから傷ついてしまう」
このことを、まずはしっかり把握しておくことが重要です。
2.自分の考え方や価値観だけで、他人の悪意を決め付けるから辛い
ある特定の人が怖いという時はまず、なぜ怖いのか、何が怖いのかを考えてみましょう。
そこには「相手には悪意がある」という思い込みが隠れている場合があるんです。
たとえば、
「あなたは仕事が遅すぎだ!」
と上司から言われたとすると、そこに、
- その言葉以上の(悪い)意味を想像してしまう
- 上司一人に言われたことが、職場の人みんなも同じように思っていると感じてしまう
こうした捉え方が、人と関わるのが怖いと思ってしまう大きな原因なんです。
そしてこの捉え方は、自他境界があいまいだからこそ、より強く感じることでもあるんです。
>>>「私、嫌われているかも」と悩むのは、自他境界の曖昧さが原因!?
他人に興味がない人ほど、他人のことを決め付けやすい
先ほどの上司の例のように、相手に悪意を感じてしまうのは、単純に相手のことをよく知らないからなんです。
相手のことをあまり知らないのに少ない情報から、
「このような叱り方をするのは、自分のことをよく思っていないからに違いない」
と決め付ければ、誰でも人と関わるのが怖いと感じてしまいます。
もしかすると実は自分のことを、
「たまにミスはあるが、しっかり丁寧に仕事をしてくれている人だ」
と思っていることだって極端な話、あり得るわけです。
そうしたことに気付くためには、日頃から他者のことに興味を持ってみることです。
- あの人は、なぜあんなことを言ったのか
- あの人は、ただ頑固な性格なだけかもしれない
自分が他人に悪意を感じて傷つきやすいと悩んでいるとき、それは相手のことを深く知るチャンスとも捉えることができます。
仕事とは関係ない、ちょっとした雑談を通じて、相手が自分を傷つけようとはしていないことが分かることも意外にあるものです。
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繊細で傷つきやすい性格を少しでも変えるには
本当は自分が自分を傷つけているという事実を知る
繊細で人付き合いが怖いという思いが強い人ほど、過去に多くの傷つき経験をしているはずです。
しかし厳密には相手に傷つけられているわけではなく、実は自分で自分を傷ついているのが事実なんです。
つまり、相手に自分の心を傷つける力なんてないんです。
自分がその相手から言われたことを図星に思っているから傷ついてしまうんです。
それだけ人と関わるのが怖いからではなく、自分がその自分を嫌っているからです。たとえば、
- 年下の人に、初対面でタメ口を使われる
→「自分は人からナメられるような価値のない人間だ」と自分が思っているということ - 「ほんと真面目な性格だね」と言われた
→「自分は真面目でつまらない人間だ」と自分が思っているということ
傷ついてしまうのは、相手の言葉をキッカケに自分が見たくない自分を見てしまうからなんです。
傷つかないようにするのでなく、「傷ついた時にどうするか」という視点を持つ
どんなに傷つかないように細心の注意を払っても、やはり傷つくような出来事は起こってしまうものです。
そのため、どれだけ人と関わるのが怖いとしても「傷つかないことをあきらめる」ことが大事になってきます。
多くの人は、頭では分かっていても、
「やはり傷つきたくない!傷つくのが怖い!傷つかない方法が、どこかにあるのではないか!」
そう思ってしまいがちです。
特に傷つきやすい繊細な人なら、なおのことでしょう。
しかし、どんな人でも全く傷つかないのは不可能であり、世の中に傷つかないという人はいません。
人と関わるのが怖いという人は、
- どんなに強靭なメンタルを持っている人であっても、
- どんな人に対しても丁寧な態度で、言葉遣いにも細心の注意を払っても、
- 仕事でもミスをしないようにしたとしても、
それでもやはり傷つくことは避けられないということを理解していくべきです。
他者の態度はコントロールできないと知る
傷つきやすい繊細な人の中には、自分でも気が付かないうちに自分の発言や行動といった振舞いによって、
「相手の発言や行動を変えたい」
と期待してしまっている場合があります。
- 相手に優しく接すれば、相手も優しく接してくれるはず
- 自分はこんなに相手の頼み事を聞いたんだから、相手もお願い事を聞いてくれるはず
このような期待を無意識に持っていると、とても苦しくなります。
それは自分がどんな態度を取ろうとも、他者の態度をコントロールすることは出来ないからです。
しかし、もしそのことに気付くことができれば、少しずつその苦しみは軽くしていけるはずです。
人と関わるのが怖いのではなく、本当は自分と向き合うのが怖い
この社会は残念ながら、傷つきやすい繊細な人に優しい場所ではありません。
むしろ傷つきやすく人と関わるのが怖いという人が、損をするようにできているのが、今のこの社会です。
しかし、だからこそ自分と向き合い続けることが必要なんです。
- なぜ、自分はこんなに繊細なのか
- なぜ、自分はこんなに人と関わるのが怖いのか
- なぜ、自分は自他境界がうまく引けないのか
こうしたことを自分の中で深掘りし続けることで、少しずつ自分のことが理解できるようになり、受け入れていけるようにもなるはずです。