「自分の性格や内面も顔や体型も、全てが気持ち悪く感じて、何もかも嫌になる」
自分に一つも良いところを見い出せないと、人と会うことや生きること自体が本当に嫌になってしまいますよね。
さらに、
- 身近な人から傷つけられた
- 人前で恥ずかしい思いをした
こうした過去を何度も頭の中で思い返してしまうことは、あまりに辛いものです。
しかし自分のことを強く嫌悪してしまう人ほど実際は、
- 努力家であり、高い理想をもっている
- 自分の心を守る術を知っている
このような傾向があるという事実があります。
つまり自分の存在が気持ち悪いと苦しんでいる人ほど、実は、
「本当の自分のこと」を何も知らず、ただ誤解してしまっているだけ
なのかもしれないんです。
本記事では、自分のことをどうしても全否定してしまう人の隠れた心理と、その克服法について解説していきます。
自分の存在が気持ち悪い…悩み苦しむ人が抱えている特徴とその克服法
自分自身への強い嫌悪感を少しでも軽くしていくために必要なことがあります。
それは、
自分が次に挙げる3つの心の状態に陥っている可能性がある
と知って気付いていくことです。
- 自分の内面が「良い自分」と「悪い自分」とに分裂している
- 自分の存在価値の決定権を、他人に委ねてしまっている
- 自分にも他人にも安心感をもてていない
「なぜ自分はこんなにもダメな存在で、生きづらいのだろうか」
そう悩んでしまう人ほど、周りのみんなは自分に自信をもって楽しそうに生きているように見え、ますます辛くなってしまうものです。
ではなぜそう感じてしまうのでしょうか。
その理由を一つずつ見ていきましょう。
1.自分の内面が「良い自分」と「悪い自分」とに分裂している
人間はたとえどんなに立派な人でも、必ず良い面・悪い面の両方を合わせ持って生きていますよね。
ただそれでも多くの人は、自分のことを極端に嫌いになったりはしないものです。
それは大半の人が、成長する過程で自分の良い面・悪い面を含めて、
自分の存在を、まるごと他人(親・友人・恋人など)に受け入れてもらった体験
があるからです。
しかし自分の存在を気持ち悪いと感じてしまう人の場合、これまで親や友人、恋人などから、
条件付きの自分しか、受け入れてもらえなかった可能性
があります。たとえば、
- いつも自分よりも他人の都合を優先する自分
- いつも外見や身だしなみが完璧に整っている自分
- いつも周りの空気を読んで、冷静に振舞える自分
こうした特定の自分にしか存在価値を感じられない人は、自分自身のことを、
価値のある「理想の良い自分」 または、
価値のない「最悪で嫌な自分」
という、どちらか一つの見方でしか自分のことを捉えられない傾向が見られます。
これでは「自分とはどんな人間か」という自己評価がいつも揺れ動き、不安定な心理状態につながってしまうわけです。
これが自分を苦しめる大きな原因の一つになります。
心に余裕があるときだけ、自分を肯定できている!?
誰でも自分自身を「最悪で嫌な存在」だと感じ続けることは、精神的にものすごいストレスになるものです。
そのため人間には、そんな強いストレスから心を守るための防衛反応として、
「最悪で嫌な自分」を意識の上から切り離して、なかったことにできる
という能力が備わっています。
これは無意識に起こる強烈な現実逃避のようなものです。
この能力のおかげで、普段は実質的に自分のことを「理想の良い自分」だと思えるようになります。
しかしこの防衛反応は、精神的に余裕のあるときしか十分に働いてくれません。
たとえば、
- 何か人前で失敗をして恥をかいてしまった
- 過去の嫌な出来事をふと思い出してしまった
こうしたことがきっかけで突然、自分のことをもう「最悪で嫌な自分」だとしか思えなくなってしまうんです。
それでもこの心の防衛反応のおかげで、普段は自分の見たくない嫌な側面から目をそらして過ごせることもまた事実です。
つまり自分への嫌悪感というのは、これまで自分の心を守れてきた副作用だとも言えるわけです。
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2.自分の存在価値の決定権を、他人に委ねてしまっている
「なぜ自分は他人の態度や仕草・言葉だけから、自分の価値を決めてしまうのだろうか」
他人の発言や反応に傷つきやすい性格だと、少しのことで自己嫌悪に陥りやすいものです。
ではなぜ自分を嫌う人は傷つきやすい傾向があるのでしょうか。
それは、
- どんな自分なら、理想の良い自分なのか
- どんな自分なら、最悪で嫌な自分なのか
この定義自体を他人に決めさせてしまっているからです。
たとえば過去に自分のことを傷つけてきた相手がいたとして、果たしてその人は人間として完璧な成熟した心の持ち主だったのでしょうか。
よくよく考えてみれば、
- すぐに感情的になる人だった
- 一方的に他人のことを決めつける人だった
こうした可能性も十分にあったのではないでしょうか。
そうした自分を傷つけてくるような人たちからも、
「認めてもらいたい」
「好かれたい」
と思ってしまえば、誰でも辛い思いをすることになります。
そして精神的に自立した自分、たとえば、
- 相手の機嫌よりも、自分の機嫌や気持ちを大切にする
- 人からどう思われるかより、自分がどうしたい・どうありたいかを優先する
こうした自分は逆に、「いやしくて、気持ち悪い自分」ということになってしまいかねません。
つまり自分は、これまで周囲の人たちにただ振り回されていただけとも言えるわけです。
3.自分にも他人にも安心感をもてていない
現実の自分に魅力がある・ないに関わらず、自分のことを必要以上に嫌悪してしまいやすい人には共通して、
自分の心を開ける相手が、これまでいなかった傾向が挙げられます。
心を開ける相手がいないと、たとえば何か不安を感じたとき、
基本的に一人でその不安感を抱え込みがちになります。
そうすると日常の中での他人の、何気ない発言や態度の意味を、
- 「自分のことを気持ち悪いと思ったに違いない」
- 「自分をバカにしているに違いない」
などと相手に悪意があると決めつけやすくなるんです。
そうなると、
「自分は誰からも受け入れてもらえない存在なんだ」
という思いからも抜け出せなくなってしまいます。
その結果、自分のことも他人のことも信じられなくなり、余計に他人に心を開けなくなるという悪循環にはまってしまうわけです。
そして、こうした自分自身と他者に対する不信感は、「対象恒常性」という心の乱れを起こす原因にもなっています。
自分の存在が気持ち悪いという苦しみの克服法
自分の存在を気持ち悪いと感じてしまう思いを軽くしていくためには、
おそらく自分が一番これまで避けてきたこと、やりたくないこと
をしなければなりません。
それは、「理想の完璧な自分」になるのをあきらめることです。
- 「もうスタイルが悪い自分でもいい」
- 「もう自分に自信がなくてもいい」
- 「もう他人から気持ち悪く思われたとしてもいい」
このような、
現状の自分が感じている自分への嫌悪感を、少しずつでも認めて許してあげること
この積み重ねが、苦しみからの解放への近道になるんです。
『でも「嫌な自分でもいい」とあきらめてしまったら、余計に嫌悪感で苦しくなるのではないか?』
そう感じる人も多いと思います。
しかし、それでも自分への期待を一歩ずつでもあきらめていくことができれば、
- 「自分の辛さを、みんなに理解してもらいたい」
- 「今の自分は気持ち悪くてイヤだ!変わりたい!」
こうした執着も軽くなっていくはずなんです。
ではどうすれば、理想の完璧な自分になることをあきらめられるのでしょうか。
自分の力で変えられないものを変えようとしていないか
- 「自分のことを気持ち悪いと感じてしまうのは、もうしょうがない」
- 「理想の自分になることは、あきらめよう」
こう思えるようになっていくためには、
「自分がどれだけ頑張っても、他人の心は変えることはできない」
という事実に気付くことが必要不可欠です。
自分のことを気持ち悪いと感じてしまう人の多くが、
「努力して自分を変えさえすれば、他人の気持ちも変えることができる」
そう無意識のうちに思い込んでいる傾向があるんです。
自分の力ではどうにもできない他人の心というものを、
「自分が頑張りさえすれば、どうにかできるはずだ」
と心の底で信じているからこそ、理想の良い自分になることをあきらめられないわけです。
そして、この「自分は他人の心を変えることができるはず」という感覚は、
自分と他人の心の境界線
これがあいまいだからこそ、生じてしまうものでもあるんです。
>>>「私、嫌われているかも」と悩むのは、自他境界の曖昧さが原因!?
ほとんどの人は、自分の心の内面で起こっていることに気付いていない
自分に対して嫌悪感を抱いてしまうことは、本当に辛く苦しいものです。
しかし自分の存在を気持ち悪いと思ってしまう原因は、決して自分に価値がないからではありません。
その気持ちは、ただ他人を信じられずに他人に振り回されてしまう自分の心を守るために生じている防衛反応でもあるんです。
そしてその苦しい思いは、自分の内面と少しずつ向き合い、気付いていくことで軽くしていけるものでもあるわけです。
どれだけ努力をしても、他人の心は変えることができません。
けれど、自分の心はいつでも少しずつでも変えることができます。
そのためにも自分の心が陥っている状態をきちんと知って気付いていくことが、自分を変えていく近道になるはずです。