どうしても親を許せない!
親が原因で幼い頃から生きづらさに苦しんでいれば、誰でも親に対して憎い気持ちを抱き続けてしまうものです。
「本当は親こそが、苦しい思いをするべきなのに…。」
自分だけがずっと苦しみ続けるなんてあまりにも理不尽で、余計に親への憎悪が増してしまいますよね。
そして下記のような親への思いを、自分の心の中に抱いてしまうのも無理ありません。
- 「親には罰が下るべきだ」
- 「親に自分の辛さを思い知らせてやりたい」
しかし、こうした思いの正体をきちんと知ることで、親を許せないという憎しみは乗り越えていけるものなんです。
本記事では、親への憎しみを乗り越えるための方法についてお伝えしていきます。
あなたが親への憎しみを乗り越えられない深い理由
「自分の人生を苦しいものにした親のことが、どうしても許せない」
このように親を許せないという気持ちに囚われて苦しい思いをし続けてしまうのは、
適切な許しのステップを知らないことが大きな原因です。
さらにこれに加えて、
- 心の底では親を許したくない
- 親の考えこそが間違えであり、自分が絶対に正しいはずだ
こうした思いを持っているために、ずっと親を許せずに自分ばかりが苦しんでしまうわけです。
では親を許すためのステップとは、具体的にどのようなものなのでしょうか。
親を許せないという執着を断ち切るための許しのステップとは
親に対する憎しみを乗り越えていくためには、次の5つのステップを順に踏んでいく必要があります。
- 否認
(自分の親が毒親だったという事実を認めたくない) - 怒り
(自分を苦しめた親に対して憎しみや怒りを抱く) - 模索
(親に自分の苦しみを分からせたいと試行錯誤する) - 抑うつ
(何をしようが親は変えられないし、分かってももらえないという現実に絶望する) - 受容
(親は関係なく、自己理解を深めることで自分は変わっていけると思える)
親を許せないという執着を断ち切れない人は、多くの人が成長する過程で経験している
「親からの精神的な自立」
が出来ていない可能性があります。
それは自分でも気付いていない親への依存心があるからです。
そうした依存心を一歩ずつ克服していくためにも、順にステップを確認していきましょう。
1.否認(自分の親が毒親だったという事実を認めたくない)
まずはそもそも自分の親が「毒親」と呼ばれる、
「子供に悪影響を与える存在だった」
と初めて知った場合、誰しもそうした事実をいきなりは受け入れられないものです。
特にその毒親に育てられた人は、
「自分の親は、とても優しくて思いやりのある人だ」
と現実と真逆の思い込みをしている場合が多くあります。
それは親の保護なしには生きていけない子供が、
自分の親に対して、嫌悪感や恐怖心をもつこと
このことは精神的にとても負荷のかかることだからです。
だからこそ自分が心の底に押しやって見ないようにしてきた「親に対する本当の感情」を知ることに対して、初めのうちは誰でも拒絶反応があります。
そのため余計に、
自分の親が毒親で、そんな親を自分は嫌って恐れていた
そう認めることには、誰でも抵抗があるものなんです。
2.怒り(自分を苦しめた親を許せないという憎しみや怒りを抱く)
一度親への嫌悪感や恐怖心を自覚できると、心の底に抑圧していた気持ちが溢れてくるものです。
この段階では、
- 自分がこれまで親にされてきたこと
- 自分の生きづらさの原因が親にあること
こうしたことを書籍やネットなどで詳しく知っていくことで、さらに親へのネガティブな感情や親を許せないという気持ちが強まります。
そうして最終的に親への怒りの感情が沸いてくるわけです。
3.模索(親に自分の苦しみを分からせたいと試行錯誤する)
親への怒りや嫌悪感、憎しみをしっかりと自覚できるようになると、次はその怒りを親本人にぶつけたい気持ちが高まります。
- 自分がどれだけ苦しい思いをしてきたか
- 親がどれだけ今までヒドいことをしてきたか
こうした自分の心の底に溜まった「親を許せない」という思いを、どうにかして親に分からせたいと思うようになります。
そして親に話し合いを持ちかけたり、これまで我慢してきた自分の意見を言うようになっていくわけです。
4.抑うつ(何をしようが親は変えられないし、分かってももらえないという現実に絶望する)
実際に、自分の鬱積した思いを親にぶつけたとしても、ほとんどの親は真剣にその思いを受け入れることはありません。
話しをそらしたり逆に怒り出したりして建設的な会話ができないため、絶望的な気持ちにもなるものです。
「親とは、まともな話し合いはできないんだ」
ただ、そう頭では分かっていても、やはり親に執着してしまうものです。
それは多くの人が幼い頃から、
何事も親に許可をもらう必要があった
という習慣が関係しています。
つまり親への怒りすらも、親が悪いということを親に認めさせなければ、自分一人でネガティブな感情を解決できない傾向があるんです。
5.受容(親を許せないという気持ちはうすれて、自分は変わっていけると思える)
自分の中のネガティブな感情(親への怒りや憎しみ、自分自身への嫌悪や否定感)ときちんと向き合い続ければ、最終的に、
「自分は自分の力だけで、人生を切り開いていくことができる」
と感じられるようになります。
このように自分に力を感じられるようになる自己効力感を得られることによって、
- 「親に自分の気持ちを分かってもらう必要なんてないんだ」
- 「親は条件付きの愛情しかくれなかったが、だからといって自分に存在価値がないわけではないんだ」
こうしたことに徐々に気付いていくことができるようになります。
そうして自分の中の無力感が和らいでいくと、親を許せないという執着心も弱まり、
「自分の評価というものは、他人が決めるものではなく、自分で決めていいものなんだ」
と少しずつ思えるようになっていくんです。
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人によってそれぞれ成長過程は異なるもの
一般的には「親のことをどうしても許せない!」と言うと、
「いい歳して、いつまで親のせいにしているのか」
と理解されるどころか批判にさらされて、余計に苦しい思いをしがちなものです。
しかし今もし親を許せないとすれば、それは許しのステップの途中だからです。
人によって成長過程は様々です。
成長段階がステップ3.模索(親に自分の苦しみを分からせる方法をとにかく探して試行錯誤する段階)の人もいれば、
ステップ2.怒り(自分を苦しめた親に対して憎しみや怒りを抱く)の段階の人もいます。
だからこそ誰が何と言おうが、親を許せないという思いは、
決して「甘え」などという一言で片づけられるもの
ではないんです。
>>>毒親育ちは、現実を見るフィルターが生きづらいものにされている
親を許したくないという無意識の思いが、成長を止めてしまう
どうしても親への執着心がなくならないという人の中には、心の底で親を許したくないという思いを持っている場合があります。
これは簡単に言えば、親を許さない方が心理的にラクだからです。
もし今、自分の人生がうまくいっていないと感じているとします。
そして「それは親のせいに違いない」と思うことができるのならば、人間誰でも親を許したくなくなるものです。
ここで言いたいのは、「親のせいにするのは悪いことである」ということではありません。
こうした心理的な罠に、自分が気付かずにハマっていないかということです。
親を許せないという苦しい気持ちを和らげるには
親への憎しみを乗り越えるためには、親から受け入れられることをあきらめる必要があります。
しかし多くの人にとっては、これこそが一番難しいことでもあります。
それはこれまで生きてきた何十年もの間、親から受け入れてもらうために、生きづらさに苦しみながらも頑張ってきたはずだからです。
ただ今までの人生を振り返ったとき、一度でも親は、
ありのままの自分を受け入れてくれたことがあったでしょうか。
自分の辛い気持ちに寄り添ってくれたことがあったでしょうか。
もしこれまで一度もなかったとすれば、恐らくこれからも自分が親に、
「分かってもらおう、受け入れてもらおう」
そうどれだけ頑張っても、その努力は報われないでしょう。
つまり、親を許せない気持ちとは無関係に、
「自分の親とは何をしても、一生分かり合えることはない」
と受け入れるしか、自分が救われる選択肢はないんです。
ただ、だからといっていきなり、
「親を許せないという気持ちを、何とかしてあきらめよう」
と無理やり自分に言い聞かせる必要はありません。
一歩ずつ親への許しのステップを踏みながら自分の心と向き合うことで、少しずつ親への執着心は和らいでいくはずです。