親子の役割逆転とは?「子供時代」を生きられなかった人の特徴

心の悩み

親子の役割逆転って、具体的にどういうことなのか知りたい

親と子供の役目が入れ替わると聞くと、何だか特殊な状況に感じますよね。

 

しかし子供のときからずっと親の役目をしていたことに、大人になっても気付かず、生きづらさに苦しんでいる人は多くいるんです。

 

本記事では、親と子の役割逆転の影響と克服のために必要なことを解説していきます。

スポンサードリンク

親子の役割逆転とは

子供が、親のネガティブな感情や気持ちを、なだめる世話をさせられる状態に置かれる

これが子供の立場から見た、親子の役割逆転という現象です。

 

本来親の役割とは、

子供の気持ちに寄り添い、甘えの欲求を満たしてあげて、心の支えとなって子供に安心感を与える役目のはずです。

そして子供の役割とは、

親から感情や気持ちのケアをしてもらいながら、甘えの欲求を満たしてもらい、心を支えてもらうことです。

 

しかし親子の役割逆転が生じている場合、これが文字通りの逆になるわけです。

つまり親の役割が、

子供から感情や気持ちのケアをしてもらいながら、甘えの欲求を満たしてもらい、心を支えてもらうことになっている。

そして子供の役割が、

親の気持ちに寄り添い、親の甘えの欲求を満たしてあげて、心の支えとなって親に安心感を与える役目をせざるを得なくなっている。

 

つまり親が精神的に未熟なままであり、子供を利用して自分の心の葛藤をなだめようとしているわけです。

これにより子供はさまざまな生きづらさを抱えることになります。

親の役割を負った子供の特徴

親のカウンセラーとなってしまう

子供は誰でも、その日に起こった出来事や感じたことを親に話したいと思うものです。

 

しかし、親子の役割逆転が起きている家庭の子供は、いつも親の話を聴く役割をさせられてしまいます。

  • 親の苦労した話
  • 自分がどんなに大変かという話
  • 他人のグチ
  • 弱音

こうした家庭の親は、自分のことで精神的にいっぱいで、子供の気持ちに関心がありません。

 

そして「親がいかに大変か」という話をいつも聴かされる子供は、もう自分の話なんてとても親にすることはできません。

  • 親が大変なのに、自分の楽しかった話なんてできない
  • 親が大変なのに、自分の辛かった話なんてできない

たとえ話を切り出せたとしても、親が子供の気持ちに寄り添って話を聞き入ってくれたり、共感してくれたりは、おそらくしないでしょう。

 

子供は親に気持ちや考えを共感してもらうことで、初めて自分に自信を持てるようになります。

しかし、親子の役割逆転が生じている場合、子供は常に、

「自分のことを分かってほしい」という気持ちが満たされないまま大人になってしまいます。

 

こうした子供は大人になっても、

  • 困ったときに誰かを頼る
  • 辛く苦しいときに誰かに話を聞いてもらおうとする

こうしたことが、できない傾向があります。

「自分が親を助けなければ」と思ってしまう

親がいつも不機嫌だったり、辛そうにしていたり、不満そうな場合、子供は「自分が親を助けなければならない」と思ってしまいます。

 

それは「自己関連付け」という心理により、幼い子供は身の回りで起こることを何でも自分と関連付けてしまう傾向があるためです。

 

そして親子の役割が逆転している家庭の子供は、親を助けるために、

  • いつも親の顔色を伺う
  • 自分の欲求や気持ちを我慢する
  • 親の不機嫌や心の葛藤の責任を自ら引き受ける

こうして子供は無意識のうちに、いつも自分を犠牲にして、親の意に沿う行動をするようになります。

 

しかしそこまで自己犠牲をして頑張っても、親は相変わらず急に不機嫌になったり、弱音やグチを言い続けるでしょう。

そうなれば子供は誰でも、無力感に陥ってしまいます。

>>>子は親を救うために「心の病」になる

 

そうして大人になった人は、

  • いつも自分を犠牲にしてでも、他人のことを優先してしまう
  • 他人の不機嫌や不都合を、自分が何とかしなければと思ってしまう

このような生きづらさに苦しみやすい傾向があるんです。

スポンサーリンク

親から「子供時代」を奪われた人の苦しみは、想像を絶する

親を気遣う役まわりを引き受けている子供は、一生抑圧に苦しむことになるだろう。

 

子供がそのような役まわりを引き受けるということは、親のほうが子供時代に満たされなかった欲求を抱えているということである。

不適切な親子関係が多くの疾患の原因になるのだ。

身体が「ノ-」と言うとき 抑圧された感情の代価

 

生まれてからずっと親の役目を負わされた子供の苦しみは、想像を絶するものです。

  • 悲しいことがあって親に慰めてもらいたくても、自分の方が親を慰めてあげなくてはならない
  • 「嫌なことをイヤだ」と言いたくても、自分の方が親のために我慢してあげなくてはならない

 

親子の役割逆転の状態で生きてきた子供は、生まれてから一度も、子供としての子供時代を送ったことがないことになります。

 

子供としての役割を経験できないままで大人になるということは、次のようなスキルを身に付けられないことになるんです。

  • ストレスを受け流せない
  • 自分のネガティブな感情との向き合い方がわからない
  • 自分を大切にする方法がわからない

 

こうして大人になっても結局、いつも自己犠牲をして、不安や恐怖心、孤独感から目をそむけて見ないフリをしながら生きることしかできないのは、あまりに辛すぎるものです。

「親が望む子供」に無意識になろうとしてしまう

親の役目を負った子供は、親を救うために「親の望む自分」になろうとします。

 

そして子供に自分の不快な気持ちの世話や甘えの欲求を満たしてもらおうとする親は、子供に自分勝手な要求を、無意識のうちにしているんです。

一例を挙げると、

  • 親自身の心が満たされてないために、子供も幸せにならないでほしい
  • 親が優越感を得られるように、子供はいつも失敗をしてダメ人間であってほしい
  • 親自身が一人では生きていけない人間のため、子供も常に親がいないと何もできないし、決められない人でいてほしい
  • 親自身が自分に自信がないため、子供も自分に自信のない、自己主張もできない人でいてほしい
  • 親のプライドを満たすために、子供は自分のやりたいことはあきらめて、親の望む通りの人生を歩んでほしい

こうした親の自分勝手な気持ちは、もちろん直接言葉で語られることはありません。

 

しかし日々の親子の役割逆転が起きている中で子供は、上記のような思いを親から感じ取り、無意識に従おうとします。

そうすることで「親を救おう、親から愛されよう」としてしまうんです。

役割逆転から回復するためには、一歩ずつ子供時代を取り戻していくしかない

親の甘えの欲求を満たすために、親の親代わりとして生きてきた人が、今からでも子供時代を送り直していくためには、長い時間を要します。

 

それでも少しずつ自分を育て直していくためにはまず、

  • 自分は親を含めて他人の不機嫌の尻拭いをしなくていい
  • 親や周りの誰かを自分が助ける必要はない

このことに気付くことです。

 

そしてこれらに共通していることは、

「自分と他人の心の境界線があいまいになっているからこそ、生きづらい人生になっている」ということになるんです。

>>>相手の不機嫌を自分のせいだと思い怖くなる人が知るべきこと

 

親子の役割逆転が生じる原因は、もちろん親にあります。

 

そしてそんな毒親とも呼べる親についても、少しずつしっかりと学んでいくことが、生きやすい人生を送るための大きな一歩になるはずです。

>>>毒親育ちは、現実を見るフィルターが生きづらいものにされている

タイトルとURLをコピーしました