辛い人生を歩むことに、もう疲れてしまった
うつ症状や体調不良・人間関係や仕事など、長年にわたり悩まされ続けることは、本当辛いものがあります。
そんな辛い人生の根本的な原因が実は、
「親から引き継いだ心の矛盾にある」
そう述べているのが、著「子は親を救うために「心の病」になる」です。
子供は親から「歪んだ生き方」の全てを教わることで辛い人生となる
人は誰でも成長する過程で親から、
- 人との付き合い方
- 人生観
- 善悪を判断する倫理観
- 親との接し方
こうしたこの世界に適応するために必要な観念やルールを習得していきます。
本書ではこれを「心理システム」と呼んでいます。
子供は母親からのメッセージに合わせて、自分の心理システムを作り上げていきます。
この世界は安全なのか危険が多いのか、
人は怖いのか優しいのか、
この世界を楽しんでいいのか、それとも我慢が大切なのか、
人とどうやって付き合うのか、そして最も大切なこと、どうやって人生を頑張り生きていくか、
これら全てを母親から教わる。
子供は12歳頃までに、無心に親を真似て生き方を学んでいきます。
この時期に親から学んだことが、のちに人生が人並み以上に辛いものになるかどうかという、子供の一生を左右することになるわけです。
ところが通称「毒親」と呼ばれる親の元で育った子供の場合、子供が心理システムを作る上で模範としている親の心にそもそも矛盾(歪み)があるわけです。
- 間違った人との付き合い方
- 歪んだ善悪の倫理観
- 主従しかない親子関係
子供はこうした親の心の矛盾まで、そのままコピーしてしまいます。
その結果、生きづらい心理システムを抱えながら、辛い人生を歩むことになってしまうわけです。
親の心の矛盾が大きいと、それを取り込んだ子供は親と同じ苦しみを生き始める。
もちろん子供は無理なことを教えられているとは気づかずにそれに従う。
彼らは親を信じているし、親に教えてもらった生き方以外はありえないからだ。
自分が我慢していることすら感じない。
毒親育ちの人が生きづらく辛い人生となる真の理由
普通の親元で育った子供は、親に対して自己主張することで自分の存在というものを確認していきます。
自分のどんな楽しい・辛い・悲しい気持ちや感情、意見に対しても、きちんと受け止めて共感して反応してくれることで自分を確認できるわけです。
ところが毒親育ちの子供の場合、そうした自己主張を禁じられているため、自分の存在を確認することができません。
親が子供の自己主張に対して、肯定的な反応や共感をしてくれないことがほとんどだからです。
そうなると毒親育ちの子供が自分の存在を確認する唯一の方法は、
「自分の意志を放棄して、我慢をする」ことになってしまいます。
普通の子は、欲求を満たして自分の存在を確認する。
虐待を受けた子は、欲求を我慢して自分の存在を確認する。
そして逆転した存在感は、異なる心理システムを作り出す。
子供が「怖い」と言っても、親には「そんなの怖くないから」と感情を否定される。
また、「痛い」と言っても、親には「そのぐらい痛くないから」と否定され怒られる。
こうした自分の感情や感覚を否定される辛い環境の中で唯一、親から存在を否定されない方法は「我慢する」ことしかありません。
普通の人と「善悪」の感覚が逆転していることの悲劇
毒親育ちの人が生きづらく辛い人生となりやすい大きな理由は、普通の人と善悪の感覚が逆になっているためです。
では善悪の感覚が逆になっているとは、どのような心の動きなのでしょうか。
そもそも人間はどんな理由であろうと、
とにかく生き延びることが「善」である生き物です。
それは自分の親がたとえ毒親だろうとも、子供はその親に従って生きる人生しかありませんし、そもそも目の前の親以外の親を知らないため、他に選択肢がない状態だからです。
そのため毒親育ちの子供にとっての「善悪」とは、
- 毒親に耐えることが「善(生き延びることができる)」
- 耐えきれずに逃げることが「悪(生き延びられない)」
ということになります。
こうして普通の人とは善と悪の感覚が逆転してしまいます。
そして最終的に、毒親育ちの人の心理システムは、
「自分にとって、毒になる他人や親」という悪に耐えることが、善(生き延びること)となり、
普通の人にとっての善(毒親の元から逃げ出すこと・自己主張を受け入れてくれる人)を求めることこそが、悪(生き延びられない)となっている
このことが生きづらく辛い人生の真の原因と考えられるわけです。
DV夫と離婚することを「悪」と捉えてしまう
著「子は親を救うために「心の病」になる」の中では、こうした善悪が逆転した心理システムを持ってしまった「ゆうきさん」の辛い人生の事例が紹介されています。
ゆうきさんの話を聞けば、誰でも
「裁判に勝って、子供を自分のものにしてDV夫と別れる方が良い」
とそう思うだろう。それが普通の人が考える良いことである。
しかし彼女が考えている「良いこと」とは逆だ。
それは夫に逆らわず、夫の優しさを期待して、そばにいて耐えることである。
その反対の「してはいけない悪い事」は夫を嫌い、夫と争うことである。
だから彼女が裁判で争っている自分を責める。普通の人が当たり前のように思っている「良いこと」が、彼女にとって「悪いこと」である。
普通の人が「なんでそんなバカなことをやっているのか」と思う生き方が、彼女にとっては良い生き方である。
こうした善悪が逆転した心理システムが出来上がってしまったのは、小さい頃から親に否定され「悪」しか体験できなかった結果である。
このように他人の話として客観的に聞けば、このゆうきさんの善悪の感覚が逆転していることによる辛い人生や生きづらさは理解しやすいですよね。
しかし、いざ自分のこととなると冷静に物事を判断できなくなってしまいがちです。
- 会社を辞めたいけど、職場の人に迷惑をかけるのは悪いことだから辞められない
- たとえ仲の良い友人でも、自己主張することはワガママなことだから我慢しなくてはいけない
こうした考えになってしまうのは、善悪が逆転した心理システムを持っている場合、
「悪」に耐えていると心は安定し、「善」を求めると不安になるからです。
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子供は親を救うために人生を賭けて「心の病」になる
子供は、たとえ自分の親が「生きづらさを抱えた毒親」だとしても、そんな親を救おうとするものです。
そのために子供はいつも親を心配し機嫌を伺い、我慢ばかりの自己犠牲的な辛い人生の生き方を身に付けます。
たとえば子供に強く精神的に依存している親は、子供の自立を心の底から望んでいない傾向があります。
そうした場合、子供の心の中では下記の2つの気持ちがぶつかり合うことになります。
- 親から自立して、好きな生き方をしたい気持ち
- 親から自立することへの罪悪感や自責の念
毒親育ちの人の生きづらさは、親からの自立ができない苦しみでもあります。
こうした辛い人生の生き方を強いられた子供は、いずれ親に対して苦しみを訴えることになります。
- 自分は今までどれだけ親の顔色を伺い、機嫌をとるために頑張ってきたか!
- 自分だけが楽しい気持ちになると親は嫉妬して不機嫌になるため、どれだけ自分は親に合わせて辛い人生を選んできたか!
しかし辛い現実ですが、ほとんどの毒親は耳を傾けないでしょう。
子供はどれだけ辛い我慢をして自己犠牲をしても、
親が幸せになってくれない、自分のことを認めてくれないことへの虚しさや怒り
をどうすればいいのか分かりません。
そうして毒親育ちの子供は、最後の訴えの手段として「心の病」になるわけです。
不登校、引きこもり、万引き、リスカ、拒食症、過食症、過呼吸発作、家庭内暴力、オーバードラッグ、非行など、
これらは親から引き継いだ「心の矛盾」が子の中に生み出した「病」である。と同時に、親から教わってきた生き方を修正するために子供たちが始めた抗議行動であり、親子関係を見直すために取ったギリギリの手段である。
様々な症例から解明される「生きづらく辛い人生」の正体
毒親育ちの人は自分の生きづらい人生の大きな原因が、「親」にあることまでは分かっている場合が多いと思います。
しかし、自分が
- なぜこんなに苦しい思いをしているのか
- なぜこんなに辛い人生なのか
- なぜ自分はそれでも頑張り続けているのか
その本当の理由を見つける手助けに、本書はなってくれるはずです。