頑張りたいのに頑張れないのは、身体が「ノー」と言っているから

心の悩み

無気力や体調不良が続いていて、やりたいことや働くことができずに辛い

その倦怠感や無気力、体調不良の原因、実は「身体」が自分の代わりに「ノー」と言ってくれているのかもしれません。

 

そう語っているのが、著「身体が「ノー」と言うとき 抑圧された感情の代償」です。

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これはどんな本?

  • もうやりたくもない仕事をして働きたくない
  • これまで人のために自己犠牲してきたから、もう自由に生きたい
  • もう(夫婦の、友人との、職場での)苦しい人間関係から逃れたい

『こうした直接声に出来ない・行動に移せない思いが我慢の限界に達したとき、身体は病気や体調不良というカタチでSOSを発信する』

 

本書は、多くの患者へのインタビューを通じて、無意識に抑圧している感情や気持ちと様々な病気との関係性について解説しています。

 

たとえば、ある病を研究している多くの人が、実際に患者と接した印象として、下記のような特徴を患者が持っていると述べています。

  • 親との精神的な結びつきが強すぎる
  • 精神的な自立ができていない
  • 愛情への過度の欲求がある
  • 怒りを感じたり表現したりできない

 

こうした特徴を踏まえて本書では、精神的ストレスが様々な病気の発症に関係している事例を数多く紹介しています。

無気力や体調不調の人に共通している特徴

1.性格の傾向

病気になりやすい性格があると聞くと、一瞬、偏見があるように感じられるかもしれません。

しかし病気へのかかりやすさは、精神的なストレスと大きく関係していると一般的にも言われています。

 

特にストレスを感じやすい、ため込みやすい人というのは共通して、

  • 我慢強い
  • 何でも自分が悪いと考える
  • 自分よりも他人を優先する
  • 完璧主義

こうした性格の傾向が見られます。

患者の精神的特徴として明らかになったものは、他にも完璧主義、自分の怒りの衝動に対する恐れ、反抗の否定、自分が悪いという強い思い込みなどがあげられる。

これらは「がんになりやすい性格」あるいは多発性硬化症や筋萎縮性側索硬化症(ALS)その他の慢性疾患にかかりやすい性格としてすでに見てきた特徴と類似している。

こうした性格はどれひとつとして人間が生まれつき持っているものではない。

そして過度なストレスは免疫系を暴走させて、それが身体の不調として現れやすい傾向があるんです。

 

大きな病気までいかなくても、具体的な病名が付かない慢性疾患として、頭痛や不眠などの症状に苦しんでいる人は本当に数多くいると考えられます。

2.子供時代の成育歴

本書の中では、病気のなりやすさと子供時代の成育歴には大きな関係があると述べられています。

「これらの患者の生育歴に驚くほど共通するのは、両親の一方または両方を早い時期に実質的に失っていることである」とメリーランド論文は主張している。

読者はすでにこの本に出てきた人たちの生育歴に、幼いころの親との離別、親による養育放棄、あるいはどちらかの親の死が非常に多く見られることにお気づきのことと思う。

さらに多いのは感情が乏しいことであり、これも多くの論文が扱ってきたテーマである。

実際に親がいなかった場合、それが子供の心に与える悪影響は、ある程度は想像できるものです。

 

しかし実際には親がいたにもかかわらず、その親が毒親たった場合、それは親がいないことよりも心に悪影響を及ぼす可能性が大いにあります。

>>>毒親育ちは、現実を見るフィルターが生きづらいものにされている

 

親が精神的に子供の心を支える役割を果たさない親だったら、それは「物理的に親がいないこと」と同義だと言っても過言ではありません。

 

つまり実質的に親がいない環境で育った人は、人よりストレスを感じやすく、病気や体調不良にもなりやすいということです。

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親子の役割逆転が、病気や体調不良の根本原因になる

親子の役割逆転とは、

本来は親が負うべき「子供の気持ちに寄り添ったり安心感を与えたりする役目」を親が放棄し、
子供の方が親の感情や気持ちの世話ばかりに専念させられる状態のことを言います。

 

この親子の役割逆転の大きな問題は、子供が本来は得られるはずの心理的な支えや安心感を得られないまま成長することになる点です。

親子関係が人格の形成に及ぼす影響について、

子どもあるいは青年期の若者と親との役割の逆転は、一時的なものでないかぎり、親の病理の兆候であるばかりか、子どもの病理の原因ともなる。

親子の立場の逆転は、子供と周囲の世界すべてとの関係をゆがめてしまう。

それはストレスの素因となり、将来その子が精神的あるいは肉体的な疾患にかかる大きな原因となるのである。

 

こうした「子供の側が親の役割をせざるを得ない環境」では、必然的に子供は、

  • 自分の意志や気持ちを我慢しなければならない場面が多くなる
  • いつも親(他人)の機嫌に意識を向けていなければならなくなる
  • 本来は親が与えてくれるはずの「この世界や人に対する安心感」を持てなくなる

この結果、精神的に不安定になりやすく、それによる病気のリスクも高まってしまいます。

自分自身への怒りが病気を生む

不適切な親子関係の中で生きてきた人は、いつも我慢ばかりを強いられてきたため、人より怒りなどのネガティブな感情を抱きやすくなります。

 

しかし親の感情的な面倒を見るために、そうした人は自分の怒りの気持ちをずっと抑圧し続けてしまいます。

ただ、その怒りは抑圧したからといって、なくなるものではありません。

 

怒った子供が何か問題にぶつかり拒絶される経験をする。

その子が親との愛情関係を維持するためには、怒りと拒絶を内面すなわち自己に向けるしかない。

そうなると今度はそれが、リウマチ性疾患の患者たちに共通すると研究者たちが言う
「自分が悪いという強い思い込みと、自己意識の乏しさ」
を招くのである。

「本来、愛着の対象人物に向けられるべき怒りが、自分自身に向けられることもまれではない」

「このような場合には、不適切な自己批判が生じる」

とボウルビーは言う。

 

仕事や人間関係など、何かのきっかけで精神的なストレスがピークに達すると、これまで押さえ込んできた怒りや憎しみ、嫌悪感などが一気に自分自身に向いて出てきてしまいます。

これが身体の免疫系の暴走につながります。

抑圧された怒りは免疫系の混乱を招く

病気や体調不良に悩まされている人は、自分でも気付いていない「親や他者に対する怒り」を抱え込んでいないかを自分に問うてみる必要があります。

 

「自分は極限まで自分を犠牲にして、人のために我慢し続けている。それなのに、

  • どうして自分のことを理解してくれないのか!
  • どうして自分に優しくしてくれないのか!
  • 自分を見捨てたあの人がどうしても許せない!

 

こうした強い思いをきちんと感じ切って消化しなければ、その自己犠牲に対して「もう我慢できない」と身体がノーを突き付けてくるわけです。

抑圧された怒りは、免疫系の混乱を招くだろう。

感情を適切に処理し表現する能力の欠如、自分の欲求は一顧だにせずに他者の要求を満たすことばかり考える傾向、

これらは慢性疾患にかかる人すべてに共通するパターンである。

こうした対処パターンは境界の不鮮明さ、つまり心理的レベルでの自己と非自己の混乱を表わしている。

この同じ混乱が、からだの細胞や組織や器官のレベルにも及ぶのである。

混乱した免疫系は自己と非自己の区別がつかなくなり、人体を危険から守ることができなくなるのである。

無気力や体調不良は「悪」なのか

他人に対して「ノー」を言えない人には、共通して「怒ってはいけない、怒ったら愛してもらえない」という強い思い込みがあります。

 

そうして怒りを適切に表現できない自分に代わって、身体が必死に「ノー」を言ってくれているわけです。

だからこそ身体からのメッセージには耳を傾けなければならないんです。

 

ケイトリンは愛される人間になろうと必死になり、けっして怒ることも自己主張することもなく、親切で優しくて文句を言わない、もっぱら人の面倒ばかりみる人間になったのだ。

これは親の期待を先読みしてそれに適応しようとする子供の反応であり、繰り返しているうちに性格になってしまうのである。

ケイトリンは自分に割り当てられた役割を見事にこなしたが、そのために自分の健康を犠牲にしてしまった。

一生ストレスにさらされるという代価を払わなければならなかった。

そしてもうこれ以上は耐えられないというひどい拒絶にあって一年もたたないうちに、急激に命をむしばむ自己免疫疾患に襲われて、彼女の役割と彼女の人生は終わったのである。

このケイトリンの事例にように、病気の全ての原因が親子関係や精神的ストレスだとはもちろん言い切れません。

 

ただ本書で紹介されている人たちの症例を見たときに、少しでも自分と成育歴や性格に重なる部分を感じれば、きっと何か見えてくるものがあるはずです。

身体は自分に何を伝えようとしているのか

いま現在、何らかの病気や体調不良に悩んでいる方がいたら、一度考えてみてください。

「この病気や体調不良は、自分に何を伝えようとしているのか」

 

こうした視点で身体不調を捉え直してみれば、心と身体は密接につながっているということを感じることができるはずです。

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