「悪口を言われると、その後もずっと引きずってしまう」
「ヒソヒソと陰口を言われていると思うと、もうそんな自分が嫌になる」
誰でも人から悪口を言われて傷つかない人はいません。
よく悪口を気にしない方法として、
- 「悪口を言う人のことは、かわいそうな人だと思いましょう」
- 「悪口を言ってくる人なんて、無視しましょう」
などの解決法を耳にしますが、それができたら誰も苦労しないですよね。
特に共感力が強くて、いつも他者に気を遣ってしまう人ほど、他人からの悪口に大きなショックを受けてしまいやすいものです。
そんな気質の人が、他人の悪口から自分の心を守るためにはどうすればいいのでしょうか。
本記事では、他人から言われた悪口を必要以上に受け止めすぎない方法について解説していきます。
悪口を言われても気にしないためには?
まず結論から言うと、他人からの悪口を全く気にしないで済むような方法は残念ながらありません。
たとえどんなにメンタルが強くて自分軸をしっかりと持っている人でも、やはり傷ついてしまうものです。
しかし悪口を言われたときに大きな精神的ダメージを受けてしまう人には、ある共通点があります。
それは、
- 悪口を言ってくるような人にも好かれたい
- 悪口を言われない理想の自分になりたい
こうした無意識の思いを持っていることです。
上記のような思いは、それがたとえ無自覚だったとしても、いつまでも他人に心を乱される大きな原因になりかねません。
ではどうすればそうした思いを断ち切れるようになるのでしょうか。
1.悪口を言う人に歩み寄ろうとしていることに気付く
悪口を言われると、多くの人は相手に対して嫌な気持ちや怒りをもち、相手と距離を置こうとするものです。
しかし傷つきやすい人の場合、
- 「自分の側にも落ち度があるのかもしれない」
- 「自分はダメな人間なのかもしれない」
そう不安に感じてしまう傾向があります。
そして悪口を気にしないどころか、何とか相手に分かってもらいたいと思ってしまうわけです。
それはいつも無意識下で、
「人から嫌われることや自分が周囲から孤立することへの恐怖心」
が大きいからです。
またこの恐怖心とは言い方を変えれば、
「どうしても人から嫌われたくない・好かれていたい」
という他人への執着心でもあります。
ここでいう他人への執着心とは、「相手を変えたい」というコントロール欲求のことです。
相手を変えたいからこそ、悪口を言ってくるような人をスルーしたり、その人と距離を置いたりすることができないと言えます。
つまり悪口を言われたとき、不安を抱えやすい人は、
- 相手にどう言えば分かってもらえるだろうか
- 相手をどうすれば変えられるだろうか
そう思い悩みながら、自分の方から嫌な相手にからみに行ってしまっている可能性があるんです。
無意識に相手を変えようとしていないか
ではなぜ相手のことを変えようと執着してしまうのでしょうか。
それは、自分と他人の心の境界線(自他境界)があいまいな可能性があるからです。
この自他境界があいまいだと、たとえば下記のようなことが起こりやすくなります。
- 自分の周りにいる他人が不機嫌だと、その機嫌を自分が何とかしてあげなければならないと感じてしまう。
- 自分が当たり前・常識だと思っているルールを破られることに、強烈なストレスや怒りを感じる。
- 自分と全く無関係な他人の失敗に対して、自分にも何か責任があるように感じてしまう。
自分と他人とは極端な話、生まれも育ちも価値観も考え方も気持ちも全て違う、独立した生き物同士のはずです。
しかし心の境界線があいまいだと、そんな他人に対して、
「〇〇な状況では、こうあるべきなのに!」
そう自分の常識(ルール)を一方的に押し付けやすくなり、結果的に相手を変えようとしてしまうわけです。
実は自分と他人の境界線がきちんと引けている人は、自分が何をしようとも自分の力で他人を変えることは不可能だと分かっています。
だからこそ悪口を言ってくる人のことを気にしないようにするためには、
- 相手と極力接しないようにする
- その相手に好かれること・理解されることをあきらめる
もうこうするしかないんです。
また実際、悪口を言ってくる人の中には、わざと相手が自分に執着してくるように無理解を装う人もいます。
そのため、
- 無自覚にでも相手の機嫌をとろうとしないこと
- 相手の機嫌なんて元々とる必要もないこと
こうしたことに気付いていく必要があるんです。
>>>自他境界(バウンダリー)を引ける人と引けない人の決定的な違いとは
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2.誰からも悪口を言われない・気にしない理想の自分になろうとしていると気付く
「人から悪口を言われると、自分に落ち度があるのではないかと感じて苦しくなる」
そのように自分を責めてしまう人の中には、自分でも気付いていないある思い込みをもっている場合があります。
それは、
「みんなから好かれる理想の自分でなければ、自分に存在価値はない」
というものです。
そもそも悪口を言われて落ち込む心理の裏には、
「自分はそんなに人から悪く思われるような人間じゃないはずだ」
という高すぎる自分への理想が隠れている場合があります。
自分に対して無意識に課しているハードルが高ければ高いほど、
- 他人の悪口や陰口
- 悪口とまでは言えないような小言
- 他人の何気ない仕草や態度
これらの意図を悪い方向に解釈してしまい、心が大きく揺さぶられて不安感が強くなってしまいます。
こうした心の状態では、悪口を気にしないなんて不可能ですよね。
つまり問題なのは悪口を言ってくる相手ではないんです。
「他人から悪口を言われる自分を許せない」
という自分の心に余裕がない状態こそが、本当の問題なんです。
>>>自分に期待しない生き方をしたいけど、それができずに苦しい人へ
たとえ9人に褒められても、たった1人の悪口が気になり傷ついてしまう人へ
「頭では分かっていても、どうしても人から嫌われることが怖くて不安で仕方がない」
これまで周りの人たち皆から好かれる理想の自分になろうと努力し続けてきた人ほど、実はその心の底には深い人間不信があるはずなんです。
「いつも自分よりも他人のことを優先していなければ、好いてもらえないし、認めてもらえない」
そんな思いを何十年もの間、心の底に隠し持たなければならなかった人にとって、他人とは、
「安易に心を許してはいけない、警戒すべき存在」
そう無意識下で感じてしまうのは、ある意味当然のことです。
だからこそ辛く苦しい思いをしてきた人が見つめていくべきことは、他人からの悪口を気にしない方法ではありません。
悪口に振り回されてしまう自分の心に起きている問題、たとえば、
- 見捨てられ不安がある
- 八方美人に振舞ってしまう
- 他人の目を気にしすぎてしまう
こうしたことが問題の本質なんです。
不安を抱えやすい人ほど、たった1人からでも悪口を言われると、周囲のみなが同じように自分を悪く思っているような感覚に苦しんでしまうことも多いと思います。
しかし冷静になって考えてみれば、決してそんなことはないわけです。
大切にすべきは自分を大事にしてくれる人の言葉
たとえ自分のことを褒めてくれる人が10人中9人いたとしても、たった1人の悪口がそれらを上書きしてしまうことってありますよね。
けれど実際、本当に自分のことを悪く言ってくる人って少数なんですよね。
その数人のために自分を変えようとしたり、ずっと悩み苦しんだりするなんて、おかしなことです。
ではなぜそんなおかしなことになっているのかと言えば、それはこれまで述べてきたように、相手を変えようとしたり、理想の自分に固執してしまっているからです。
そうなると自分を肯定してくれた人の言葉より、自分を否定してきた人の言葉のことばかりを大事にしてしまうことになります。
それでは自分を好いてくれている人のことまで失いかねません。
本当の意味での人からの悪口を気にしない方法というのは、自分のことを悪く言われることを自分に許せるようになることです。
そして相手のことも自分のことも、実は変える必要なんてないことに気付くことです。
そのことをまずは頭で理解することから始めていきましょう。
少しずつでいいんです。
それができてくれば、自然と心や感覚で理解できるようになっていくはずです。