自分にだけ当たりが強い人がいて、関わるたびにストレスで嫌になる
誰しもいきなり攻撃的な態度をとられれば、「どうしてなのか」と戸惑い、傷ついてしまいますよね。
特にそれが自分の身近な人であれば、なおさら不安も大きく、ショックを受けるのは当然のことです。
そんな他者からの「攻撃」がなくなる方法を説いているのが、著『身近な人の「攻撃」がスーッとなくなる本』です。
本記事では、自分にだけ当たりが強い人がいることに悩んでいる方へ向けて、身近な人からの攻撃がなくなる処世術について解説していきます。
自分にだけ当たりが強い…身近な人からの攻撃がなくなる処世術
まず押さえておくべきことは、自分は当たりが強い相手の人から「脅威となる存在」だと思われているということです。
この「脅威」というのは、「この人は自分を傷つけてくる!」という恐怖心を感じているという意味です。
そのため攻撃をしてくる当たりが強い人というのは、自分の方が被害者だと思っています。
では具体的にどのようなことが、相手に脅威を感じさせているのでしょうか。
自分のどんな発言や行動が、相手の「脅威」となっているのか
当たりが強い人が、「この人は自分を傷つけてくる!」という脅威を感じる理由は、人によって色々あります。
たとえば、
- 「この仕事はあとどのくらいで完了しますか?」とただ事実を聞いても、それを遠回しに責められた、仕事が遅いとバカにされたと解釈している
- 自分以外の人が他人から褒められたのを見て、「自分も頑張っているのに、なぜあの人だけが評価されるんだ」という嫉妬心を抱いている
本書の中では、自分のどのような行動が相手の脅威になっているのか、その例を5つ挙げられています。
- 相手の敷地に踏み込んでいる
- 知らず知らずのうちに相手を責めている
- 相手が大切にしているものを踏みつけてしまっている
- 相手が我慢していることを、しでかしてしまっている
- つい「余計な一言」を言っている
このように自分が何か相手を怒らせるようなことを言ったりやったりしたのなら、まだ自分が悪かったと納得することもできますよね。
しかし自分にはどうしようもできない、する必要もないことで相手が脅威を感じてしまっていることが意外とあるものなんです。
上司が何か癒されていない問題を抱えていて、
部下の言動のどこかしらに上司を否定するような要素や、上司の安全を脅かすような要素がある場合、
それを「脅威!」と感じやすいのです。そして、いったん「脅威!」と思い込んでしまうと、その後、相手がどれほど変わっても、なかなか思い込みを手放せなくなってしまいます。
傷つけられるのが怖いので、一度でも自分を傷つけた人に「危険物」というレッテルを貼るのです。
このレッテルが「思い込み」と呼ばれるものです。
ひとたび「危険物」というレッテルを貼られてしまうと、何を言おうと、どれほど上司に対して好意的に振る舞おうと、「こいつは危険だ」というフィルターを通して見られてしまいますので、常に「攻撃」的な言動が返ってくる、ということになります。
特に自分に自信がなく傷つきやすい相手ほど、一度でも「脅威」と思った人物への警戒心を緩めることはとても難しいんです。
だからこそ何とかして相手に言い返したり、自分から歩み寄ってわかってもらおうとしても、なかなか上手くいかないんです。
「攻撃してくる人は、困っている人」という見方が、攻撃をなくすカギになる
「あの人は自分にだけ当たりが強い」と悩んでしまう理由には、自分の心の中で、
- 人から疎外される自分には価値がないと感じている
- 自分の方に落ち度があるのではないか、という自責感で苦しい
- 自分の力では今の状況をどうにもできない、という無力感でいっぱいになる
こうした思いに苦しんでいる場合が多いはずです。
これはつまり「自分が悪いから、また自分には価値がないから攻撃される」という見方をしているということになります。
しかし事実は全く違うんです。
実際当たりが強い人というは、厳密には攻撃をしているのではなく、ただ単に困っているだけなんです。
自分が悪いという前提が自分を苦しめる
「相手は困っているから、攻撃してくる」
このように事実を受け入れて捉えることができれば、「自分が悪いから攻撃される」という見方から自分を解放することができます。
自分が悪いから攻撃されるんだと思うかぎり、自己否定感からは逃れられません。
それでは相手が誰であれ、いつも他人との関係性の中で振り回されることになってしまいます。
同じ攻撃されているという状況でも、その理由が、
「自分が悪いから」
と
「相手が困っているから」
では、状況の捉え方も自分の心持ちも全く異なるものです。
そして「当たりが強い人というのは、困っているから攻撃してくるんだ」と理解できたら、次はその攻撃を、
受け流すのか
もしくは、
対処するのか
といった見極めのスキルが重要になってきます。
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当たりが強い態度にどう対処するかは、相手との関係性によって変えるべき
他者からの攻撃を「受け流すのか」「対処するのか」は、その相手との関係性によって変わってきます。
本書の中では他者からの攻撃に対して、相手との関係性の重要度別に、下記のような対処方法が望ましいと述べられています。
- 重要な他者 ⇒ 基本的に対処する
- 親しい人 ⇒ 必要な範囲で対処する
- 仕事上の関係 ⇒ 仕事に支障がなければ受け流す
- その他 ⇒ 受け流す
一つずつ見ていきましょう。
1.自分にとって重要な人には、基本的に対処する
家族や恋人、親友などがこれに当てはまります。
こうした大切で重要な人から当たりが強い態度をされたときは、まずきちんと話し合うべきです。
それは相手には「思うところがある、我慢していることがある」という可能性が高いからです。
一般に、「重要な他者」との関係には注意を行き届かせた方がよいでしょう。
少しのずれでも、関係が濃い場合にはだんだんと深刻なずれになっていくからです。
離婚の原因で「自分だけがずっと我慢させられてきた」というようなものも少なくありませんが、
これなどは小さなずれを放置した結果、蓄積してしまい限界を超えた、ということでもあるでしょう。
家族や恋人、親友などの存在は、自分の心の安定にも大きな影響を及ぼすため、決して軽視できない問題です。
2.親しい人には、必要な範囲で対処する
これは友人や親戚など「重要な人」ほどでなくても親しい人が該当します。
親しい人の中で、「この人には自分の気持ちをわかっていてもらいたい」という人とは、きちんと向き合った方がよいです。
しかし必ず分かり合えるとは限らないので、あきらめの線引きが重要になってきます。
3.仕事上の関係性の場合は、仕事に支障がなければ受け流す
仕事で関わりのある人やママ友なんかも、ここに含まれます。
この人たちからの攻撃は、基本的には向き合わずに受け流すべきです。
その基準は「その相手との関係性が悪化した場合、仕事に支障が出るかどうか」という点です。
ドライな関係性を保つということが、一つの答えと言えます。
4.その他の人は、とにかく受け流す
たまたま入った店の店員やSNS上でつながりのある人など、人間関係とは言えないような関係性がこれに該当します。
こうした人からの攻撃は、とにかく受け流しましょう。
それは仮に言い返しても、自分の思いはほぼ理解されずに感情的なしこりだけが残る可能性が高いからです。
特にネット上での攻撃は、理由も分からず突然やってくるものです。
自分のツイートをフォローしていてくれた人から突然フォローをはずされてしまう。
これは、「お前のツイートは読む価値がない」という「攻撃」を受けたように感じられることもあり、意外と気になるものです。
「もしかしたら」というネガティブな妄想がふくらむと、衝撃を受けたときの「自信のなさ」との相乗効果で、健康を損ねるレベルにまで達することもあります。
もともと「フォローをはずされた」という衝撃を受けたときには、自信がなくなっており、自分のすべてを疑うような心境になっているもの。
そこにネット社会の「わからなさ」が上乗せされると、どんどん他人と自分を疑うようになってしまうのです。
とにかく、ネット社会の「攻撃」は、リアル社会とは違う特徴がある、と知っておきましょう。
どんな価値観の相手か分からない人とは、よほど時間をかけない限り、基本分かり合えることはありません。
人間関係に悩むのは「その相手とどうなりたいか」がないため
相手がどんな人でどんな関係性なのかに関係なく、
「自分がその相手と、どうなりたいのか」
という意志や思いがあるかないかは、非常に重要なことです。
たとえば、
- 今の上司には、自分の思いや悩みは分かってもらわなくてよいから、仕事だけはスムーズに進められる関係性でありたい
- 友人の〇〇さんとは気が合いそうだし、自分のことをもっと知ってもらって、より深いことを話し合える間柄になりたい
このように自分の気持ちがはっきりしていないと、基本全ての人間関係が受け身になってしまいます。
こうした受け身の人間関係の根底にあるものは、「誰からも嫌われたくない」という苦しい思いです。
これは八方美人や他者依存、人間不信に深くつながっているものでもあります。
主体性のない人間関係こそが、ストレスの元凶
「目の前のこの人と、どうなりたいか」という意志がないと、いつも他人に振り回されることになってしまいます。
- この人は自分を嫌ってくるから、自分も嫌い
- あの人は優しくしてくれるから、自分も優しくしなければいけない
このような「他人の振舞いに合わせた接し方」ばかりしていては、もし相手が攻撃をしてきたり何だか当たりが強いと思ったとき、自分は、
「どう対処したいのか」ではなく「どう対処するべきか」で自分の振舞い方を決めてしまいかねません。
そうすると、そこには自分の意志がないわけです。
そうなれば、いつも義務感で人付き合いをすることになり、いずれ全ての人間関係がイヤになってしまいます。
例:友人との旅行、私が手配したのに「部屋が暗い」「朝食がまずい」などと文句を言われた。
苦労して手配してあげたのに、一方的に文句を言われた場合、攻撃された、と思う気持ちもよくわかります。
こんなときにも、状況を自分でコントロールすることは可能です。
まずは、相手との関係性をどうしたいのかを考えます。
これだけ一方的な文句を言ってくる辞典で、この友人は「決めつけ体質」のように見えますので、近くにいてあまり良いことはなさそうです。
友情はキープするけれども旅行には一緒に行かない、友人としての親しさのレベルを下げる、など色々な選択肢があります。
自分は相手のことを、
- 好きなのか
- 嫌いなのか
- どうでもいいのか
また心の距離を空けたいのか・縮めたいのかがわからないことによる弊害は、想像以上に大きいものです。
当たりが強い態度をされやすい人の特徴
相手が困っている・いないに関わらず、人から当たりが強い態度をされやすい人には、ある決まった特徴があります。
たとえば、
- 他人に媚びてしまう
- 相手のことを決めつけやすい
- 他者への要求が強い
- 相手の大切にしているものや価値観を軽くみてしまっている
そしてこうした特徴の根底にあるものは、「自分のことを大切にできない」という心理なんです。
自分のことを大切にできないから、他人に媚びて他人に自分を大切にしてもらいたいと思ってしまうし、
自分のことを大切にできないから、他人に「自分を大切にしてくれ」と要求してしまうわけです。
自分を大切にできない人の多くは、他人のことも大切にすることができません。
それでは相手の反感を買って、当たりが強い態度をとられる一つの原因にもなってしまいます。
自分のことを大切にできないのは、被害者役にとらわれているから
自分を大切にするためには、自分に自信をもつことが必要になります。
そして自分に自信をもつためには、「自分は攻撃をされた被害者だ」という思いに囚われていることにまず気付く必要があります。
一般に、自信がなさそうな人や卑屈な人は「攻撃」されやすいもの。
自信を持つには秘訣があります。
それは、「被害者」役を引き受けないこと。
実は自信とは、「つけるもの」でも「育てるもの」でもなく、「もともとあるもの」。
相手はただ困っているだけだ、という見方をすると、自分に余裕ができ、自分の力を感じることができます。
この力が、「自信」と呼ばれるものなのです。
「攻撃」する人を「困っている人」と見ることを習慣にしていくと、それが自分を大切にすることにつながり、自信を感じられるようになっていきます。
そして「自分は被害者だ」という思いの底には、
「攻撃してくる相手が悪い、だから本来は相手こそが態度を改めるべきだ」
という、自分が人間関係に対して主体性を持ちたくないという気持ちが隠れているんです。
自己肯定感が低い人ほど「攻撃された」と受け止めがち
自分に自信がなくて自己肯定感が低い人は、ちょっとした他人の発言や振る舞い、仕草を「攻撃」だと解釈しやすい傾向があります。
それはもともと傷つきやすい性格の人は、「他人は自分を傷つけてくるものだ」というフィルターを通して他者を見ているからです。
誰かから攻撃されている、また当たりが強いと感じたときは、まず「相手は困っているから攻撃している」と捉えることを思い出してください。
そしてそれに加えて、日頃から相手の発言の意図を不必要に読みすぎないように意識することが重要な対処法になります。
他人の発言に深い意味づけをしない
どんなときでも他人からの攻撃を受け流すためには、相手の発言に言葉以上の意味づけをしないことが必要不可欠です。
これは「この人は自分を見下しているに違いない」などと相手の気持ちを悪い方向に深読みしすぎないということです。
どれだけ考えたところでその相手の意図は、相手以外の誰にもわかりませんし、結局は自分の想像でしかないからです。
だからこそ誰かから攻撃されたと感じたときは、ただ「相手は困っているんだな」と思い、受け流すだけにすることです。
そこで言い返したりすれば、結局は自分が傷ついたり無駄なエネルギーを使うだけになってしまいます。
例えば「君は何をやらせても、ダメだな」と上司から言われると、大きな衝撃を受ける人が多いと思います。
しかし、
「この上司は何にでもネガティブなコメントをしないと気が済まないタイプに過ぎず、はいはいと聞いておけば問題ない」、「上司がこのコメントをした時には『本当にそうですね。頑張りますから、ご指導お願いします!』と言っておけばご機嫌になる」
というような対処法を知っていれば、大した衝撃を受けないでしょう。
ただし、対処ならなんでもよいというわけではありません。
「そんなことありません。私なりに頑張っているんです!」などと言い返しても衝撃が何ら減らない、ということはとても多いものです。
つまり攻撃を攻撃と受け取らないよう、心掛けるということです。
また、たとえば相手の発言に対して、
- 「こんなこと、上の立場の人が言うことではない」
- 「こっちはお客なのに、なぜそんな言い方をされなければいけないのか」
こうした自分の持っている価値観や自分ルールを、無意識に相手に押し付けていることもあります。
その場合は、何かと他人に不満を抱きやすくなるため、こちらも注意が必要です。
「他人とは基本的に分かり合えないもの」という前提で生きるべき
自分にだけ当たりが強いと感じる苦しさは、
- 自分が悪いわけではない
- 相手に悪意があるわけでもない
- 相手がただ困っているだけ
このように見方を変えられれば、ずいぶんと気持ちは楽になるはずです。
もし自分の見方を変えずに相手を変えようとしてしまえば、どんどん相手との関係性が悪くなるだけです。
人間関係の泥沼にはまりやすい人は共通して、
「本当は、話せば分かり合えるはず」
という幻想を抱いていることが多くあります。
しかし実際はその幻想こそが、自分を苦しめる大きな原因となっているんです。
人間関係のストレスをできるだけ軽くするためにも、当たりが強い人に対する「処世術」はしっかり持っておくことが大切です。
本書の中ではさらに、「相手から攻撃をされない話し方のコツ」なども解説されています。