怒られるのが恐いというトラウマの本質は、心の問題ではない!

不安な気持ちの対処法
  • 「怒られると、その相手と接することに強烈な恐怖を感じてしまう」
  • 「怒られることを想像すると、体調が悪くなる」
  • 「怒られることが強烈に怖いというトラウマの原因と解消方法を知りたい」

 

本記事では、他者の怒りに対してのトラウマに苦しんでいる方へ、自分の身に何が起こっているのかを把握するための一つのヒントとなるトラウマの捉え方をお伝えしていきます。

怒られるのが恐いというトラウマの本質は心の問題ではない!

結論から言うと、トラウマとは心の問題ではなく、「身体の記憶」と言うことが出来ます。

 

そして、トラウマの苦しさを軽減するためには、安心感を身体に感じさせることが1つの解決方法になります。

トラウマが身体の記憶とはどうゆうことなのか、次に詳しく説明していきます。

怒られるのが怖いというトラウマは身体に記憶されている

まず「身体の記憶」とは、身体が記憶している手順のことです。

頭で考えずとも、身体がある意味、勝手に手順通りに動いてくれるということです。

例えば、

  • 自転車の乗り方
  • 泳ぎ方
  • 箸の使い方

 

これらは何も考えずに、ある意味自動的に身体が反応してくれますよね。

自転車のサドルに座ってしまえば、ある意味勝手に自転車に乗れてしまう。

逆にワザと転ぼうとする方が難しいですよね。

 

このように、トラウマ時の苦しかった記憶も、同じ仕組みで身体に記憶されていると言えます。

そして、何かをキッカケにして自動再生されてしまうということです。

トラウマ記憶を呼び起こすトリガーも身体記憶

この身体の記憶は、トラウマ時の「身体の反応」「五感」を記憶しています。

そのため、過去に怒られてトラウマになった時の

  • 匂い
  • 声色
  • 音、音楽
  • 皮膚感覚
  • 場面

などと身体反応をセットにして記憶しているんです。

それによって、今度はその五感をトリガーにして、苦しかった身体の記憶が再生されてしまう。

 

著書「トラウマと記憶 脳・身体に刻まれた過去からの回復」では、グループホームに入所している重度の脳損傷を抱えている人についての事例が紹介されています。

その人は、

  • ほんの少し前に交流した人のことも覚えられない
  • 交流した相手の顔を識別することもできない

にも関わらず、身体は好きな人、嫌いな人を覚えていたということです。

デイビッドには、味覚やその他の感覚を満たしたいという欲求がまだ残されていたので、しばしば他の患者にタバコや食べ物を一口ねだっていた。

職員はデイビッドがいつも、特定の入居者たちに引きつけられているようで、さらに特定の人に対する彼のお願いは着実に頻度を増しているようだと気付いた。

また、偶然観察されたのだが、廊下を歩いていて特に無愛想な人物に出くわしたときに、デイビッドの身体は驚愕し、痙攣し、「凍りつ」いた。

過去に親切にしてくれた人々には引きつけられ、そうでなかった人々を避けているだけなのだ。

しかし、明らかに彼の身体は憶えていたようだ。

なぜなら、過去の交流の情報をもとに、特定の人物に対して違う近付き方、または避け方をしていたからである。

トラウマと記憶 脳・身体に刻まれた過去からの回復

 

これと同じ仕組みで、トラウマという命の危機に対する「防衛反応」も、身体が記憶しているということです。

怒られることが苦しいのは、身体が死んだふりをし続けているから

人間に限らず、生物が強いストレスにさらされた場合の防衛反応は、3つしかありません。

  • 「戦う」
  • 「逃げる」
  • 「凍り付く(死んだふり)」

多くは戦うか逃げるかです。

しかし、トラウマとなる状況とは、生物的に戦うことも逃げることも出来ない状況に身を置いてしまった時です。

 

例えば、

  • 親からの虐待
  • 大勢の前で恥をかかされた

などです。

子供は基本的に無力で、かつ養育者(親)なしでは生きられないため、戦うことも逃げることも出来ません。

また、職場でも目上の人が相手では、戦うことも、接しないように逃げることも難しいですよね。

 

このように強烈な恐怖にさらされているにも関わらず、その場から逃れることができない場合、最後の手段として「凍り付く」という防衛反応を起こします。

 

「凍り付く」とは、身を潜める、死んだふりをするということです。

これは戦うことも逃げることも出来ない時に生じる反応です。

何者かが、人間関係や仕事を邪魔していると感じると、低度あるいは中度の怒りが沸いてくるのに気づくことがある。

次に、協力して保護、逃避、防衛または攻撃的な行動を取る。

強度の恐れ、怒り、戦慄または激怒を感じると、われわれは「戦うか・逃げるか」という手続き記憶を無意識に選択し、作動させ、瞬時に、かつ迷いなく全力で行動する。

もし、こういった行動を完全に実行できないか、打ちのめされてしまった場合には、無力感に満ちた不動状態のなかで、「凍りつく」か気を失い、安全が戻るまでエネルギーを節約する。

トラウマと記憶 脳・身体に刻まれた過去からの回復

 

この「凍りつき」の症状は具体的には

  • 過度のリラックス状態になり、頭が働かなくなる
  • 吐き気(気持ち悪さ)が起こる

などがあります。

 

通常は危機が去れば、この凍り付き(死んだふり)の状態も解除されます。

しかし、長期間・何度も危機にさらされていると、トラウマ時の防衛反応として生じた凍り付きの状態を身体が記憶してしまいます。

 

著書「身体に閉じ込められたトラウマ:ソマティック・エクスペリエンシングによる最新のトラウマ・ケア」の中では、凍りつきのことを「不動反応」と表現されています。

繰り返しになるが、トラウマは不動反応が解消されないときに生じる。

すなわち、日常生活に戻るための移行ができず、不動反応が不安や、恐怖、嫌悪、無力感のような強烈な否定的な情動と慢性的に結合(couple)したときに生じる。

このつながりが一旦形成されてしまうと、不動状態に関わる身体感覚そのものが恐怖を呼び起こす。

~省略~

そこでの内的(身体)感覚は恐れとして条件付けられている。

身体に閉じ込められたトラウマ:
ソマティック・エクスペリエンシングによる最新のトラウマ・ケア

 

トラウマを負った人は、その出来事が過ぎ去った今現在でも、何かの刺激をキッカケに身体はその「凍り付いている」真っ只中の状態になってしまうという訳です。

 

たとえば、幼少期に親から怒鳴られたことに強いショックを覚えてしまった場合、

その怒鳴られた時に感じた

  • 親の声
  • 部屋の雰囲気
  • 親の表情

など、身体が感じた情報は、身体が凍り付いて当時のまま体の中に記憶される場合があります。

 

そして、成長してからも、実際は凍り付きの状態が続いていて、職場で上司に怒られた時に、

幼少期の親に怒鳴られた時と身体が感じる情報が似ていると、一気に当時の強烈な恐怖がよみがえってしまうと考えられるんです。

 

つまり、怒られるのが怖いというのは、思考で考えた結果「怖い」のではなく、身体が怖がっていたということです。

>>>怒られるのが怖い!3つの本当の原因を知ることが解決の近道となる

 

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