- 考えても不快になるだけなのに、考えを止められない
- ベッドに横になった途端、嫌な人のことが繰り返し思い出される
本記事では反芻思考に陥った際に、そこから抜け出すためのヒントとなる方法について解説していきます。
反芻思考に陥る仕組みを理解することで、
「反芻思考は自分を守るために起きている」と理解できるはずです。
反芻思考を改善するために知っておくべきこと
「反芻思考」とは何かについて確認しておきましょう。
感情が大きく動いたシーンを繰り返し思い浮かべてしまうことで、
怒りや不安といったネガティブな感情や思考から抜け出せなくなること
この「感情が大きく動いたシーン」とは例えば、
- 上司に叱責されたシーン
- 面接やデートなどでの失敗シーン
こうした出来事を帰宅してからも、お風呂やベッドなどで何回も何回も思い出してしまう。
これは自分の意志でその思考を止めたくても止められないというものです。
反芻思考が苦しく辛い大きな理由
反芻思考が苦しく辛いのは繰り返し思い出すシーンに対して、強い臨場感を抱いてしまうことだと言えます。
それは、そのシーンを思い出すと同時に、その時の感情までもが再現されてしまうからです。
さらにそのシーンを何度も思い出す度に、感情自体も膨れ上がってしまう。
こうした現象は、感情とは思考によって生じるものであることから起きるためです。
無意識に反芻思考をするのは「目的」があるから
反芻思考は脳の情報処理におけるバグなどではなく、自分を守るために起きていると考えられます。
以下に反芻が起きる主な理由を2つ挙げていきます。
1.脳内でやり直したいため(自分自身を裏切ったことへの後悔から)
繰り返し同じシーンを想像してしまうのは、潜在意識下で、
「あの出来事をやり直したい」
という気持ちが強くある可能性があります。
これはその出来事での自分の振舞いに後悔を感じているからと考えられます。
別の言い方をすれば、
「あの時なぜ、こう発言・行動できなかったんだ」
という自己嫌悪です。
そのため脳内でやり直しをしたい、つまり、
「どう振舞っていれば、自己嫌悪せずに済んだのか」
を色々なパターンを脳内で試してしまう
というわけです。
その起きた現実を、
- 認めたくない
- 向き合いたくない
こうした気持ちが非常に強いために、もがいているとも言えます。
>>>毎日嫌なことばかり思い出す…自分を追い詰めているものの正体とは
2.強い無力感に対する恐怖心のため
多くの人は「どのような行動をとっても、ネガティブな気持ちにしかならないような状況」
に対して無力感を抱きやすい生き物です。
そしてその無力感に陥ることへの恐怖心を強く持っています。
この無力感を抱きやすいコミュニケーションの例として、たとえば職場で、
- 上司に仕事の指示を確認しに行くと
「いちいち聞かずに自分で考えて行動しろ」と言われる - 自分で考えて能動的に行動すると
「勝手に行動せず、確認をとれ」と言われる
このようなコミュニケーションのパターンは「ダブルバインド」と呼ばれています。
ダブルバインドとは、相反する二つのメッセージを同時に送られることで、板挟み状態に陥るコミュニケーション状態のことです。
このダブルバインドは、強烈なストレスがかかるコミュニケーションで、この状態に陥ると長期的には無力感に圧倒されてしまいやすいです。
>>>ダブルバインドとモラハラは密接な関係!その事例と対処方法
反芻思考は、このような「何をしても否定されるのではないか」という恐怖が元になり、
「何とか無力感から抜け出せるパターンはないだろうか」
と頭の中で何度も試行錯誤をしてしまいます。
それが結果的に「反芻思考」として現れている場合があるわけです。
しかし、どんなにパターンを考えても結局イヤな気持ちを感じる結末しか想像できなければ、非常に苦しい思いをしてしまいます。
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反芻思考を改善するためには
反芻思考の改善に効果的なことは、まず
「身体を動かすこと」です。
身体を動かすと言っても、特別な運動をする必要はなく、
- その場で軽く背筋を伸ばす
- 5分くらい散歩する
- 階段を昇り降りする
こうした軽いものでも反芻思考から抜け出すキッカケになります。
著「働く人のための精神医学」の中でも、身体を動かすことによる気分の切り替えについて述べられています。
まず心がけたいのは、日頃から、切り替えの訓練をしておくことだ。
切り替えの方法として、簡単だが有効なのは、体を動かしたり、場所を移動することだ。
職場から出て、自宅に帰る。30分以上の時間がかかったほうが、切り替えにはいい。
その間も、いつも習慣にしていること(音楽を聞く、本を読む、情報をチェックする)をするのもよいが、瞑想したり仮眠をとると、さらに切り替えは進む。
働く人のための精神医学
自分が反芻思考に陥ってしまったときに、少しでも思考を切り替えられる行動や行為を知っていると、それだけでも安心できるはずです。
無意識の不安を見つける
反芻思考は不安の表れです。
その不安の正体を直視できれば、反芻思考は軽減できます。
では、どのように不安と向き合っていけばよいのでしょうか。
「自分が恐れている最悪の事態」とはどんなものなのか
「自己嫌悪と無力感から逃れるために、想定される様々なやり取りのパターンを考えておきたい」
それが反芻思考の目的の一つです。
つまり、それは完璧な想定問答集を作りたいとも言えます。
では、そこまでして避けたいと思っている、「自分が最も恐れている最悪の事態」とはどのようなものなのでしょうか。
それを知る上で役に立つ方法の一つは、紙やメモ帳アプリなどを使って思考を頭の外に出して考えることです。
たとえば、
職場で自分のミスではないのに書類のミスを自分のせいだと思われて、上司から怒られた。
しかし自分のミスではないと上司にハッキリ伝えることが出来なかった。
こうした出来事に対して、最も恐れている最悪の事態として考えられることは、
- 上司に失望されて、もう仕事を振ってもらえないかもしれない
- 同僚も影で自分のことを笑っているかもしれない
このように書き出してみると、自分の考えていた不安があまり現実的、かつ論理的ではないことに気が付きます。
つまり、これまで何度も何度も頭の中で繰り返し思考していたものが、実は
- 論理的でない
- かなり感情的に偏った内容だった
という可能性も十分考えられるということです。
このように不安を外に書き出すことで不安の正体が見えてくるはずです。
反芻思考はとても苦しいものです。
その苦しみを少しでも軽くするためには、頭の中だけで悩みを解決しようとしないことです。
少しずつでいい、自分の中の不安と向き合っていきましょう。