周りはみんな結婚して子供もいて、かつ仕事もバリバリこなしている。
それなのに自分は……。
自分に自信がもてないときほど、他人のおめでたい話を耳にするたびに無意識に相手と自分を比べてしまいがちですよね。
特に相手が身近な人であるほど、
- 嫉妬心ばかりが強くなってしまう
- 他人の幸せをねたんでしまう自分が嫌になる
そうした心境にはまってしまえば、気持ちが落ち込み、悩み苦しんでしまうのは当然です。
ではなぜ自分は、何でも他人と比較して、そのたびに自分の存在価値そのものが大きく揺さぶられてしまうのでしょうか。
実はそこには自分と他人の心理的な境界線の問題が大きく関わっています。
本記事では、他人と比べて落ち込むことが多い人の原因とその改善方法について解説していきます。
何でも人と比べて落ち込みやすい人ほど、境界線の問題を抱えている
いつも他人と自分を無意識に比べて自己嫌悪しやすい人の多くは、
自分と他人の心の境界線(自他境界)があいまいな傾向があります。
この自他境界があいまいだと、自分を苦しめるような感覚を持ちやすくなってしまいます。
そうすると他人の基準をそのまま何でも自分に当てはめて比較してしまうため、自分を情けないと感じる機会が多くなるわけです。
では自分は具体的に、どのような自分を苦しめる感覚をもってしまっているのでしょうか。
「みんなと同じにならなければならない」という感覚が強い
自分と他人の境界線があいまいだと、
「自分は人と違ってもいいんだ」
という感覚自体を強く持てなくなります。
そのため、たとえば友人や知人が結婚・妊娠をしたり、また職場の人が同僚のことを褒めていたりする話を聞くと、無意識に自分を人と比べて落ち込むことが多くなり、
- 「結婚できていない自分は、価値がないんだ」
- 「自分は職場で、誰からも必要とされていないんだ」
そう自分で自分を追い詰めてしまいやすい傾向があります。
さらに、そうした人の心理の根底には、
- 「周りのみんなと同じようにならなければ、自分は認めてもらえない」
- 「周りのみんなに認めてもらわなければ(みんなの期待に沿えなければ)、自分に価値はない」
という他人本位、他人ありきの価値観が隠れていることが多いんです。
ただ一度改めて考えてみてください。
本当に他人の期待に沿わなければ、自分は認めてもらえないのでしょうか。
そして、そもそも自分は何か他人からそこまで期待(要求)をされているのでしょうか。
実際上記のような思い込みは、自他境界のあいまいさによって生じているものであり、自分を他人との比較で苦しめている元凶でもあるわけです。
>>>自他境界(バウンダリー)を引ける人と引けない人の決定的な違いとは
「自分も本当はできるはずなのに」という根拠なき感覚がある
さらに自分と他人の境界線(自他境界)があいまいな人の場合、自分でも無意識のうちに、
「あの人にできているんだから、自分にもできるはずだ」
という根拠のない思い込みを抱いていることが多くあります。
それにより、他人の結婚や昇進などといった幸せな話を聞いたとき、
- 「あの人には実現できているのに、なぜ自分にはできないのだろうか」
- 「実現できている人が本当にうらやましいし、ねたましい…」
こういった感覚や思いに陥ってしまうわけです。
実はこうした気持ちが生じる背景には、
自分と他人は、生まれも育ちも経験も何もかもが違う、全く別の異なる人間同士である
という事実をきちんと理解できていない(=自他境界がはっきりしていない)可能性が考えられます。
そもそも人と比べて落ち込むときというのは、だいたいその相手は自分の身近な人だったり、自分と対等か自分より格下だと(悪意なく)無意識に感じている人だったりするものです。
それは自分がその相手のことを分かっている、つまり、
「きっと自分と同じか、それに満たない(境遇、能力、努力量の)人生を歩んできているはずだろう」
と無意識に悪意なく決めつけている可能性があるからです。
自他境界があいまいだと、実際は他人のことを完全に把握できるわけがないにも関わらず、身近な相手に対してほど、
「自分と同じくらいのはずだ」
という感覚に無自覚に陥りやすくなります。
そうなれば何でも自分と比較をしてしまい、自分が何か一つでも相手より劣っていると感じたときに、激しく落ち込んでしまうわけです。
※自他境界があいまいな人の特徴には、人と比べて落ち込むことが多い以外にも、
- 他人が不機嫌だと、何か自分に責任があるように感じてしまう
- たとえ言葉にして伝えなくても、他人は自分のことを理解しているはずだと思いやすい
このように自分の問題と他人の問題を切り分けられず、生きづらい人生を送っている場合も多くあります。
人と比べて落ち込むことが多い自分から脱していく方法
「なぜ自分はみんなが掴んでいる当たり前の幸せさえ、掴むことができないのだろうか」
こうした他人との比較によって生じる苦しい思いから抜け出していくためには、
「自分は自他境界があいまいな可能性がある」
と気付くことに加えて、
- 叶わない夢に対して、徐々に踏ん切りをつけていく
- 毎日の生活の中で、前進感を意識して過ごしていく
こうしたことに少しずつ取り組んでいくことが、カギになっていきます。
自分の可能性を信じることをやめていく
人と比べて落ち込むことが多くなってしまう大きな原因には、
自分がこれまでの人生で実現できなかったことに、きちんと踏ん切りをつけられていない可能性が挙げられます。
- 「まだ自分も頑張れば、(結婚、昇進などを)実現できるはずなのに」
- 「自分にも本当は実現できたかもしれないのに」
そう心の底で自分の可能性をただ信じ続けてしまっていれば、同時に苦悩も生まれ続けてしまうものです。
そもそも悩みというものは、現実と理想のギャップから生まれます。
現実の自分が置かれている状況や能力の優劣などに関係なく、高すぎる理想をもつこと自体が、不必要に自分を苦しめてしまいます。
少しでも前向きな気持ちで理想を手放し、自分の可能性を信じることをやめていければ、気持ちに変化が現れるはずです。
だからこそ今この瞬間にでも、人と比べて落ち込んでいることについて、
「あきらめをつけられるかどうか」
を自分の心に問いかけてみてほしいんです。
「たしかに自分の人生では、〇〇には縁がなかったのかもしれない」
もしも、そう少しでも感じられるなら、同時に、
「今の自分には、代わりに他の人が持てていない△△や□□がある」
こうした自分がすでに持っている、当たり前だと思っている自分の才能や環境などに目を向けてみる。
そうすることで、現在の自分にも価値があると気付いていけるものです。
自分は今日も成長できているという前進感をもつ
自分の人生がうまくいっていないと感じるときは、どうしても未来に対して前向きな気持ちになれないものです。
そして、そんなときほど、
他人と自分を比べては、些細なことで落ち込んでしまう…。
そうした悪循環から抜け出していくためには、
「今日の自分は、昨日の自分よりも成長できている」
という前進感をもつことが欠かせません。
これは、どんな小さなことでも何か、
スキルアップをしたり、体験をしたりして、「経験や知識としての資産」を積み上げていく
ということです。
そして、自分の成長そのものをゴールにしていくことが大切になります。
それはどんなことでも自分の成長を実感できると、人は誰でも日々の意識が、
「他人と自分の差」
ではなく、過去の自分と現在の自分の差に向いていくからです。
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本来「良い自分」や「悪い自分」なんて存在しない
自分の良いところも悪いところも全てひっくるめた「ありのままの自分」を認められていないと、どうしてもすぐに人と比べて落ち込むことが多くなってしまうものです。
「ここは自分の強みだけど、ここは自分のダメなところかも」
そうした不完全で完全な現実の自分をまるごと良しとできていない場合、人は自分の心を守るために自分自身を、
「良い自分」と「悪い自分」
とに無意識に分離させて、「良い自分」だけを自分だと思い込もうとします。
そうすると「悪い自分(=自分の直視したくない嫌な部分)」がそのままコンプレックスになってしまうわけです。
※これには「スプリッティング」という心を守る仕組みが関係しています。
>>>スプリッティング(分裂)とは?葛藤から自分を守る心理について
落ち込みやすい自分でも、少しずつなら変えていける
不完全な自分を受け入れていくためには、自分を人と比べてダメだと思い込んでいる具体的な理由を少しだけ考えてみることです。
そうして考えてみればわかりますが、実際、根拠のある理由なんてありません。
それはつまり、自分に自信をもつための理由に根拠なんて必要ないということです。
ある意味で、誰にでも「ダメな部分」はありますし、むしろ完璧に見える他人だって、もちろんダメな部分をたくさんもっています。
それでも、
他人はみんな完璧・完全で、自分だけが不完全だ
そう思い込んでしまっているからこそ、苦悩してしまうわけです。
ただ、そう頭では理解できても、いきなり人と比べることを止めるのは難しいですよね。
だからこそ人と比べて落ち込むことが多いときは、まず、
「その落ち込んでしまう自分のことを、少しずつ許してみよう」
と試しに思ってみることです。
それだけでも、そこから人生は一歩ずつ確実に自分の手で変えていくことができます。