自分はどうしてこんなにも敏感で繊細で生きづらいのだろうか
HSPの人の多くは、
- 相手の感情に寄り添いすぎて、疲れやすい
- 他人の期待に応えようと、無理をしやすい
こうした特徴から、心に問題を抱えやすい傾向があります。
「そんなHSP気質の自分とうまく付き合っていくためには、どうすればいいのか」
著「鈍感な世界に生きる 敏感な人たち」では、その一つの答えを教えてくれています。
この著書の中では、
HSPの特徴や傾向を知ることこそが、HSP本人の助けになる
と述べられています。
本記事では、HSPの特徴や傾向を知ることを通じて、繊細で敏感な自分との上手な付き合い方について解説していきます。
HSPの人が抱えやすい心の問題とは?
HSPの人の多くは、自己評価が低くなりがちだと言われています。
それはこの社会が、HSP気質と正反対である、
刺激を好む社交的な気質の人が評価される社会
だからです。
そのためHSPの人は生きづらさや疎外感を抱えやすく、努力によって何とか周囲の人から受け入れられようと、
高い理想を自分に課して、自分を精神的に追い詰めてしまう
そうした結果として、様々な心の問題を抱えやすい傾向があります。
それでは具体的に敏感で繊細な自分が抱えやすい心の問題とは、どのようなものがあるのか見ていきましょう。
1.自分自身に高度な要求をしてしまう
「常に目の前の仕事や相手に対して、100%の全力を尽くすべきだ」
HSPの人は、こうした自分ルール(自分が自分に課している決まりのこと)に囚われすぎてしまう傾向があります。
これは「あるべき理想の自分でいなくてはならない」という高い要求を、いつも自分に課しているということです。
- 誰にでも親切であるべき
- 常に謙虚であるべき
多くのHSPの人は、何事も肩の力を抜いて「ほどほどに」「適当に」ができないために、人より精神的にも身体的にも疲れやすい特徴があります。
また誰かに批判されると、その批判がたとえ正当なものでなくとも、しばらく自問自答してしまいがちです。
そんな自分への理想の基準を下げていくには、
ありのままの自分でも、許されるんだ
という経験を積み重ねることが、重要なカギとなります。
2.罪悪感と羞恥心に苦しみやすい
繊細で敏感な気質の人は、自分の力が及ばないことにまで罪悪感を抱いてしまうことも多くあります。
これはたとえ自分と全く関係ないことに対しても、「自分のせいに違いない」と自己関連付けをしやすいということです。
特に共感力の強い気質の人は、他人のネガティブな感情に対しても責任を感じてしまいやすい傾向があります。
また羞恥心に関してHSPの人は、
理想の完璧な自分になれない場合に、「恥」の気持ちを感じやすい
という特徴が挙げられます。
たとえば、
- 他人からの質問や声掛けに対して、素早く適切に返答できなかった
- 誰かと一緒にいるだけで、すぐに疲れてしまう
- 何でも物事を重く受け止めすぎてしまう
またHSPの人は特に、自分自身について恥じていることや、他人から隠したいことがある場合、
自意識過剰になりすぎて、人との関わりを極端に避けてしまいやすい傾向もあります。
3.恐怖心を感じ、憂うつな気分になりやすい
HSPの人は深く物事を考えることが得意なため、最悪の事態をいつも想像してしまいがちです。
- このまま体調が良くならなかったらどうしよう
- あの人に嫌われたらどうしよう
こうした最悪の事態を想像することで、恐怖や不安の感情を抱きやすくなります。
特に「恐怖心」は、繊細で敏感なHSP気質の人ほど悪影響を受けやすい傾向があります。
またHSPに限らず、安心感のある家庭環境で育つことができなかった人は、
恐怖心を感じやすく、憂うつな気分になりやすい
という特徴があると本書では述べられています。
ただ本書の中では、同時にこうも記されています。
生育環境に恵まれた敏感な子どもは、その敏感さを強みとすることを覚えます。
しかし、幼少期に思いやりのある十分なサポートを受けられなかったとしても、大人になってから、
自分で自分を支え、敏感であることのプラス面を引き出し、それが財産となるように自分の人生を切り開いていくこともできるのです。著「鈍感な世界に生きる 敏感な人たち」
また、憂うつな気分から抜け出せないとき、多くの人は、
- 寝て忘れようとする
- 無意識に憂うつなことを頭の中で考え続けてしまう
こうした悪循環に陥りがちです。
しかしそれよりも、何でもよいので心が満たされる活動することが、憂うつな思考のループを断ち切るには有効になります。
それはそもそもネガティブな感情というものは、ネガティブな思考から生まれるからです。
HSP気質の人は、どうしても物事をネガティブに考えすぎてしまう傾向があります。
そのため実際、現実は、
「最悪の事態が現実的に起こりうる確率は、想像よりもずっと低いものである」
ということを意識するだけでも、気持ちは変わるものです。
4.怒りをうまく放出できない
HSPの人はたとえ怒りが沸いたとしても、
「どんなときでも感情的にならずに、冷静であるべきだ」
という自分の感情よりも思考を優先することで、感情を押さえこんでしまう傾向があります。
また共感力の高さから、自分の気持ちよりも相手の感情や事情を優先しやすいため、怒りの気持ちが消化されずに心の底に蓄積されやすい特徴があります。
怒りの感情というものは、何らかのかたちで発散しない限り、勝手に消えてなくなるものではありません。
そのため直接的に怒りを相手にぶつけるのではなく、
相手に対して自分が感じたこと、して欲しいことを冷静に伝える
こうしたことの積み重ねによって、怒りの気持ちは収まっていくものです。
繊細で敏感な自分との上手な付き合い方
もしHSPの人に努力すべきことがあるとすれば、それはありのままの自分を好きになることです。
そして、それと同時に「自分の心を満たすこと」を知って実践してあげることです。
それはHSPの人は特に、他人の心を満たすことばかりに意識が向きやすくて、自分自身のことを一番おろそかにしがちだからです。
それでは繊細で敏感な自分と上手に付き合う方法について見ていきましょう。
五感から過度に刺激を受けないための対策をとる
HSPの人は、たとえ無自覚でも五感からの刺激によって、
- 疲れやすい
- 集中力が続かない
- 不安感が強くなる
こうした状態に陥りやすい傾向があります。
そのため光や音に過敏な場合は、
- ブルーライトカットの眼鏡を掛ける
- 周囲の雑音を低減するノイズキャンセリングイヤホンを使用する
このような自分に合わせた対策を積極的にとっていくことが、まず大切になります。
自分に思いやりをもつ
HSPの人は自分に厳しく、間違いや失敗をする自分が許せないという気持ちを強く持っていることが多くあります。
そして現実の自分を無視してでも、
「自分は周囲のみんなに合わせるべきだ」
という意識も強いものです。
そのためたとえ辛くても、一人で我慢して苦悩を抱え込みやすい特徴もあります。
しかし自分にはやたらと厳しいにも関わらず、他人には優しく甘い対応をしがちです。
だからこそ他人に接するのと同じくらい、
自分自身に対しても、辛い気持ちに寄り添って優しくする
このことを意識する必要があります。
自分らしくいることの喜びを感じる
繊細で敏感な気質の自分と上手に付き合っていくために欠かせないことは、
当たり前のことですが、
「自分はHSPであり、人よりも繊細で敏感な気質である」
ということをきちんと意識することです。
HSPの人は実際は、こまめに休憩をとったり、五感からの刺激をなるべく遮断したりすることで、人並み以上の能力を発揮できる優れた資質の持ち主です。
そのため、そうした自分のことをまずはしっかりと肯定して受け止めるべきです。
その上で下記のような、HSPである自分がリラックスできて安心感を得られる機会を確保していきましょう。
- 自然を肌で感じる
- 創作活動をしてみる(絵を描く、作品を作るなど)
- 動物と過ごす
- 哲学的な考えをめぐらす時間を持つ
そうすることで、自分が繊細で敏感な気質であることをより肯定していけるようになるはずです。
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HSPの人は自分のことを「量」ではなく「質」で評価するべき
HSPの人は一つ一つの行動(仕事、人付き合いなど)の質が高いために、他の人のように一度に多くのことをこなすことは難しいのが現実です。
しかし逆にそれが長所でもあるわけです。
- 仕事でも料理でも、一つ一つを丁寧にこなせる
- 時間がかかっても、メールの文面はしっかりと作り込める
- 少数の人と、深く関わり合っていける
そのため自分が他人よりできていないことばかりを気にするのではなく、HSPの自分だからこそ得意なことに意識を向けるべきなんです。
>>>HSPの長所から見えてくる強みの共通点とは?繊細さを活かせる働き方を解説
他人に合わせるのではなく、自分に合う人と付き合っていく
HSP気質の人は社会の中では少数派なことから、どうしても疎外感や劣等感を抱きやすいものです。
そうした疎外感や劣等感から、自分を周りの人に合わせるために努力しようと、いつも苦悩してきた人も少なくないはずです。
しかし、
自分はHSPであり、それは生まれつきの気質で、人より優れた一面もある
このように自分のことをより詳しく理解していくことで、少しずつでもありのままの自分を受け入れて自己肯定感を高めることは、十分に可能なことです。
また、著「鈍感な世界に生きる 敏感な人たち」の中では、
HSPの人が持っている7つの能力についても解説されていますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。