- 自分が陥っている状況がダブルバインドと言えるのかどうか
- ダブルバインドとモラハラってどうゆう関係性なのか
ダブルバインドについて調べても、一般的な説明だけがされていることが多く、よく分からずに悩んでいませんか。
特に身近な人(上司、恋人、親)が
- 何でもあなたが悪いと決めつけてくる
- 自分の都合が通らないと不機嫌になる
このような人だと、日常がとても辛く苦しいものになってしまいますよね。
本記事では、モラハラと密接な関係があるダブルバインドの事例と対処方法について解説していきます。
ダブルバインドに苦しんでいる人へ!その事例と対処方法
ダブルバインドから脱出するための対処方法は大きく3つあります。
- 自分が陥っている状況をきちんと把握すること
- ダブルバインドの事例をより多く知ること
- 他人のコントロールを受け入れないこと
なぜこれらが必要かというと、日常の何気ないコミュニケーションだと思っていたものが実はダブルバインドだったと気付いていないことが結構あるからです。
そしてこのダブルバインドに対処する上では、幼少期の親とどのようなコミュニケーションをとってきたのかが、とても大きく関わってきます。
たとえば、幼い頃から母親とこんなやり取りがあった場合
子供:「ご飯支度、手伝おうか」
母親:「いいよ、手伝わなくて」
その後、突然
母親:「疲れているのに、ご飯支度を一人でやるのは大変なんだよ!」
この例から読み取れることは、母親は子供にやって欲しいことをはっきり直接言わず、
「あなたの(手伝わないという)態度が私を不機嫌にしている」
というメッセージを送っていると言えるんです。
恐らく、母親ははっきり「やっぱり手伝って」言うと自分勝手な発言になって非難、拒否されると思っているのでしょう。
しかしそうなると、お互いに話がかみ合いません。
子供と親の双方ともが、
「あなたはどんな考え方をしているのか知りたい」
と思わなければ分かり合えることはなく、話し合いで解決することはないんです。
ダブルバインドとは出口のないコミュニケーション
ダブルバインドとは、一般的に
「二つの相反するメッセージが込められた矛盾したコミュニケーション」
と言われています。
そして、この相反するメッセージというのが、とても分かりにくいために、
「自分はダブルバインドなんてされていないのでは」
と思ってしまいがちです。
実際にダブルバインドされると、された側は混乱して相手の言っていることが矛盾していることだと気が付けないことが多くあります。
たとえば、幼少期に親に「怒鳴らないで欲しい」と思ったとして、
- 親にそれを言うと文句だとして怒られる
→不快な気持ちになる - 言わずに我慢する
→不快な気持ちになる - 親との関係を断つ
→できない
つまり、置かれた環境から逃げることもできず、何をしても不快になる状況です。
このように親から「自分の発言した意見や主張に対しての回答」をしてもらえない、また、自分が何を主張しても
「あなたの考え方、捉え方自体がおかしい」
と会話自体を拒否されているように感じることも立派なダブルバインドです。
ダブルバインドとは結局は出口のないコミュニケーションと言えます。
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ダブルバインドとモラハラの関係
もし他人の機嫌に敏感だったり、自己主張をするのが苦手だったりする場合、その原因には、
幼少期からダブルバインド的な接し方をされていた
可能性があります。
そしてこのダブルバインドは、モラハラの根っこになっているコミュニケーション方法でもあります。
仕事の場でも起こりえるダブルバインド
モラハラとは、暴力以外の言葉などによって精神的ダメージを与える行為のことです。
たとえば、
- 一つの失敗をずっと責め続ける
- 何でも人のせいにしてくる
このモラハラの根底には、ダブルバインドが必ずあります。
というよりもダブルバインドとは、モラハラの一つの手段なんです。
また、モラハラは毒親とも深い関係があります。
>>>毒親の最大の悪影響は、現実を見るフィルターを生きづらいものにされること
たとえば、毒親育ちの人は幼少期から親にこのような態度を取られることが多い傾向があります。
- 個人的なことにまで口出ししてくる
(これを着なさい、これを食べなさい、どこに行くか言いなさい、など) - いつまでも過干渉で子供扱いしてくる
- 親の意向、欲求を察して動くことを強要される
ただダブルバインドは、必ずしも悪意があってやっているとは限りません。
しかし悪意がある人も少なからず存在します。
たとえば、会社の上司で
- 仕事上のちょっとしたことに難癖をつけて激しく怒る
しかし、怒りを爆発させて相手に恐怖を覚えさせることが目的 - 難癖をつけるために、わざと曖昧な指示しか出さない
曖昧にすることで、いつでもどんな理由でも怒ることができる - 自分のことを怖い人なんだと思わせたい。
そうすることで、恐怖で人を支配できると考えている
こうした上司に対しては、
- 指示が曖昧だから上司に指示を仰ぐと「そんなことは自分で考えろ」と言われる
- 自分で考えて仕事を進めると「勝手に仕事を進めるな」と言われる
つまり、自分がダブルバインドされているかもしれないということは、モラハラを受けている可能性があるということです。
>>>ダブルバインドは仕事でこそ起こりやすい!?逃げるべきサインとは
ダブルバインドされて育った人の後遺症の例
ダブルバインドを長期間受けてきた人は、それが過去のことであっても、かなりの後遺症を残していることがあります。
- 自分を犠牲にしても他人に尽くしてしまう
- 真面目で我慢強く頑張り過ぎる
- 人にどう思われるか異常に気になる
- 人に相談できない
- 自分の気持ちをわかってもらいたい思いが強すぎる
- 他人を不快にさせないように常に気を張っていなければならない
- 常に他人の顔色をうかがい、他人の意に沿っていなければ安心できない
- 自己主張(断るも含む)ができない
- 他人と争ってでも自分を守ることができない
- 自分だけ楽しむのが怖い
- 何でも「自分にも責任がある」と考えてしまう
- 他人の何気ない(ネガティブな)言動や態度が、全て自分への反応(拒否メッセージ)と感じてしまう
本当に辛いですよね。
今でもダブルバインドに苦しんでしまう理由
もし今は自分の周りにダブルバインドをしてくるような人はいないのに、人付き合いがとても苦しいと感じているとしたら、
それは潜在意識の中に
「ネガティブな自分自身のイメージ」
「ネガティブな他者のイメージ」
が強く残っているのかもしれません。
たとえば、
- 全ての人は自分のことを恨んでいて、理不尽な非難をしてくる「敵」だ
- 自分はいつまでも未熟で無力な、他人から冷笑され邪険に扱われ、迫害される存在だ
これらのイメージが、自分が意識していなくとも自分の中にあると、無意識の中で常に
- 他人はいつダブルバインドしてくるか分からないから警戒すべき
- 自分はダブルバインドされると、不快な気持ちを我慢することしかできない無力な存在だ
という思い込みに振り回されることになります。
こうなると「安心感」を感じられない人生になってしまいます。
ダブルバインドの苦しみから脱するための対処方法
他人のコントロールを受け入れてはいけない
まず、どんなことを言われたとしても、
他人の考えは他人のものであり、自分の考えではない
と分けて考えることが大切な対処方法になります。
それは他人と自分の考えをきちんと分けておかないと、嫌なことをされて「やめてほしい」と伝えようと考えた瞬間に、
「たぶん言っても、何だかんだ理屈をつけて非難されるから、反論しても仕方がない」
と思ってしまい、反論することをやめてしまう可能性があるからです。
そうすると、いつまでもダブルバインドされ続けることになってしまいます。
確かに反論しない方が楽かもしれません。
けれど反論しないとずっとターゲットにされてしまいます。
そして、ダブルバインドされたらその人から全力で逃げること。
これはすごく重要なことです。
その相手に分かってもらおうとすると、その努力はほぼ確実に報われません。
不快な思いをし続けるだけになってしまいます。
「自分は被害者だ」と自覚する
毎日のように「お前が悪い」と言われ続けると、自分の感情が分からなくなり、物事の判断が出来なくなります。
ダブルバインドの被害者となりやすいのは、
- 几帳面
- 他者への配慮が得意
- 責任感が強い
このような人が多いんです。
そして、起こった出来事に対して、
「自分が悪いんじゃないか」
と罪悪感を抱きやすい特徴がある人が、被害者に選ばれやすい傾向があります。
そうなると、相手側は
「この人は、自分が不機嫌な態度をとれば、言うことを聞いてくれるに違いない」
と思われ、ターゲットにされやすくなります。
相手の見下した態度や不機嫌に対して、反応してはいけません。
また、
「自分はこの状況で何もできない無力な存在だ」
と自分が嫌になってきたら、それは危険信号です。
うつ病になる原因はただ一つ、「自分を嫌いになること」だからです。
>>>相手の不機嫌を自分のせいだと思い怖くなる人が知るべきこと
本当の自分の気持ちを声に出す
自分を取り戻すためには、モラハラ、ダブルバインドをされた時に生じた「怒りの感情」を取り戻す必要があります。
- 「何でも人のせいにして、ふざけるな!」
- 「自分をこんな風にした親を絶対に許さない!」
- 「人を馬鹿にするのもいい加減にしろ!」
- 「屁理屈にもならない理由言ってて恥ずかしくないのか!」
自分の心の内にある叫び声をきちんと聞いてあげることが大切です。
自分の中にそうした怒りがあることに気付くことで、自分が無意識に我慢のコミュニケーションを取っていると認識できるようになります。
ダブルバインドは、されている側が気が付かないと対処方法が分からず、本当に辛く苦しいものです。
その辛さから逃れるためにも、本記事がお役に立てれば嬉しいです。