自分は共依存なのかもしれない…。
共依存という言葉を知って、
「親や恋人といつも辛い関係になるのは、これが原因なのではないか」
そう感じる人は少なくないようです。
しかし具体的にどんな人が陥りやすいのか、そもそも自分にも当てはまっているのか、なかなか分かりにくいですよね。
本記事では、そんな共依存に陥りやすい人に共通する特徴とその克服方法について解説していきます。
共依存とは
二人の人間が、過度に「お互いに依存し合っている関係」
この状態のことを「共依存」と言います。
共依存の主な特徴は、
「相手を必要とする人」
と
「相手に必要とされたい人」
のペアによる依存関係ということです。
たとえば、
一人で身の回りのことができない人
と
誰かのお世話をしてあげたい人
人の好意に甘えたい人
と
人に尽くしてあげたい人
このように「守ってもらいたい人」と「守ってあげたい人」がお互いを必要とし合うことは、一見すると良いことのように思えますよね。
しかし共依存が問題なのは、お互いに、
「相手が成長することを許せない」
という点にあるんです。
お互いに関係性が崩れることが「裏切り」になる
ここでは例として、
「一人で身の回りのことができない人」
と
「誰かのお世話をしてあげたい人」
の共依存関係を挙げていきます。
たとえば「一人で身の回りのことができない人」が、少しずつ身の回りのことが一人でできるようになることは本来喜ばしいことです。
しかし「誰かのお世話をしてあげたい人」にとっては、世話をしてあげられる人がいなくなるということになります。
実は「誰かのお世話をしてあげたい人」というのは、
- 誰かの役に立つ自分
- 誰かに必要とされる自分
こうした自分でなければ、自分に存在価値を感じられないという、心理的に追い詰められた状態であるという特徴があります。
もちろん当の本人も相手も、意識的にこのことには気付いていません。
そのため「誰かのお世話をしてあげたい人」は、本当に相手のためを思って色々とやってあげているわけではありません。
他人の世話をすることで「自分自身が救われたい」という思いでやっているわけです。
だからこそ「誰かのお世話をしてあげたい人」にとって、相手が自立していくことは、
自分の存在価値を見失うことにつながってしまいます。
そのため、心の底では絶対に相手に自立してほしくないと思っているんです。
依存することで得られるものは「安心感」
「一人で身の回りのことができない人」にとっても、自分の世話をしてくれる人がいなくなることは心理的に死活問題となります。
それは大きな特徴として、「一人では生きていけない」という無力感を抱えているからです。
共依存に陥りやすい「一人で身の回りのことができない人」は、これまで決して一人で身の回りのことができなかったわけではありません。
そうではなく、誰かに身の回りのお世話をしてもらうことによって、
いつでも自分を見守ってくれる人がいる
という安心感を得たい気持ちが、無意識下にあるわけです。
そのため世話をしてくれる人がいなくなるということは、同時に安心感をも失うことになってしまいます。
だからこそ「一人で身の回りのことができない人」も、相手が自分のお世話をしてくれなくなることを絶対に阻止したいわけです。
こうした共依存の関係にある、
「誰かのお世話をしてあげたい人」
と
「一人で身の回りのことができない人」
というのは、人によってどちらかの立場になりやすいというものではありません。
一人の人間が、相手や置かれた立場などによって、どちらの立場にもなり得るということなんです。
ではこうした他人に依存しやすい人の特性とは、どのようなものがあるのでしょうか。
共依存に陥りやすい人の特徴
見捨てられ不安が強い
他人に依存しやすい人というのは、大人になる前の段階で精神的に自立することができなかった場合がほとんどです。
そのため誰かに依存して安心感を得たいという気持ちが強い特徴があります。
その結果、少しでも相手が自分に冷たいと感じると、
「相手に嫌われて、見捨てられてしまった」
という極端な感じ方をしてしまいがちです。
>>>なぜこれほど見捨てられ不安はすぐに克服するのが難しいのか
過干渉になりやすい
依存心の強い人は、依存相手の意見や考え・価値観に干渉的で、プライベートなことも把握したがる傾向があります。
これは基本的に他人を信用できていないからです。
- 人はいつ突然裏切るか分からない
- 相手のことを全て知っていないと不安
共依存に陥りやすい人は、人間不信が心の底にあるために、他人に過干渉になってしまうわけです。
そして、こうした人は親もまた、人に過干渉であることが多い傾向があるんです。
人間関係を「上下関係」でしか捉えられない
この社会では、仕事などの利害関係を除いて、基本的に他者とは誰とでも対等な関係のはずです。
しかし共依存に陥りやすい人は、対等な人間関係に不安を感じやすい特徴があります。
それは自分の立場が明確でないと、どのように振舞えばよいか分からないからです。
そのため何かと上下関係に持ち込もうとしてしまいます。
- 先輩/後輩
- 年上/年下
- 親/子
- 支えてあげる側/支えてもらう側
こうした「どちらかが上か下か」でしか人間関係を捉えられない理由は、
自分から社会的な役割や立場を除いた、何者でもない自分(=アイデンティティ)に自信がないからです。
だからこそ「親」や「先輩」、「教えたり支えたりしてあげている側」といったアイデンティティにしがみつこうとしやすい傾向があるんです。
>>>自分のアイデンティティとは?|その意味と種類をわかりやすく解説!
他人の都合ばかりを優先して、自己犠牲をする
他人に依存しやすい人は、まず自分が子供時代から親と依存関係だった可能性が考えられます。
その関係性の中で子供は、親を守ってあげる側の立場に立たされやすい傾向があります。
それは親が心理的に未熟な場合、親自身が「子供から守ってもらいたい」という気持ちが強いからです。
このような状況では、精神的に親と子の役割が逆転する現象が起きやすいことが知られています。
>>>親子の役割逆転とは?「子供時代」を生きられなかった人の特徴
こうした親子の役割逆転の状況下では、子供は自分の欲求を親に満たしてもらうことをあきらめなければならなくなります。
そしていつも自分を犠牲にして、親のために尽くさざるを得なくなるわけです。
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共依存の克服のためには
1.自分の依存心の強さに気付くこと
他者に依存しやすい人ほど、自分に依存心があると気付けていないことが多いです。
それは共依存に陥りやすい人ほど、「お互いに依存し合う」という人間関係しか知らないという特徴があるからです。
生まれて初めて接する「親」との人間関係が依存関係だった場合、
その後に出会う人とも同じく依存し合う関係性を築こうとするものです。
つまり依存し合うこと以外の関係性を知らないために、自分が相手に依存していること自体がごく自然なことだとしか思えないわけです。
共依存を克服するためには、まず自分は依存心が強いということを自覚する必要があります。
そしてその上で、具体的に自分はどんな人と依存関係に陥りやすいのかを探っていくことになります。
2.自分は「誰と依存関係にあるのか」を把握すること
自分は依存心が強いということを自覚し始めたら、次は、
「いま自分は、誰に対して依存しているのか」
を見つけていきます。
共依存とはその名前の通り、お互いに依存心を持っている者同士が陥るものです。
つまり自分は依存心が強くても、相手の依存心が弱くてその意志がなければ、共依存の関係にはならないはずなんです。
そうした視点から考えたとき、自分と依存関係になっていると思われる人に心当たりはあるでしょうか。
3.「その相手とどうなりたいのか」の答えを持つ
自分には一人でも、不満を感じる相手はいるでしょうか。
もし少しでも思い当たる人物がいるならば、共依存に陥りやすい人の特徴を、その相手に当てはめて考えてみてください。
- 見捨てられ不安が強い
例:誘いや頼み事を断ると、不機嫌になる - 過干渉ぎみ
例:人の予定やプライベートなことを何でも聞いてくる - 上下関係を意識してくる
例:どちらが年上か年下か
もし当てはまる相手がいたならば、その人とは依存関係にあるかもしれません。
その場合、共依存の克服には次の質問を自分自身に投げかけてみる必要があります。
- 自分はその相手に何を求めているのか
- その相手を変えたい/変えてあげたいと思うことはあるか
- その相手の精神的な成長(自立)を、自分は喜ぶことができるか
こうした問いかけへの答えを見つけられれば、共依存の克服への大きな一歩をすでに進められていることになります。
そして「相手に嫌われたくない」とか「相手の役に立ちたい」という思い以外に、
「自分はその相手とどうなりたいのか」
という答えを自分なり持っていくことが、克服への大きな力になります。
「依存する自分=ダメな自分」ではない
そもそも誰かに依存しやすい人は、幼い頃にしっかりと親に依存して甘えることができなかった場合が多いです。
依存すること自体が悪いことなのではありません。
大人になって乗り越えているべき「精神的な自立」を子供時代にできなかったことが問題なんです。
共依存に陥りやすい人の特徴は、相手や状況によって立場が、
- 誰かに守ってもらいたい側
- 誰かを守ってあげたい側
このどちらにもなり得るということです。
つまり共依存からの脱出のためには、自分の意志の力だけで、
- 誰かを頼らないように努力すること
- 誰かを救おうとしないように我慢すること
こうしたことでは、解決しないんです。
まずは、
精神的に自立できている安全な人に、少し依存して甘える
という子供時代に経験できなかったことを、少しずつ経験し直していくことが一番の近道になります。
そして「依存する側」でも「依存される側」でもない、対等な立場での人間関係を具体的にイメージできたとき、
それこそが自立へ向かって進めているサインになります。