ラベリング効果って具体的にどう生活に活かせるのか、よく分からない
ラベリングという単語を初めて耳にする人にとっては、何だか難しい言葉のように感じてしまうかもしれません。
しかし無意識的に意外と多くの人が、”悪い意味で”生活の中で使ってしまっているテクニックでもあるんです。
本記事では、ラベリング効果の意味とその活かし方について解説していきます。
ラベリング効果とは?その特徴と本質的な意味
まず、ラベリングとは簡単にいうと、
自分や他人に対して、ラベルを貼ること(決め付けること)です。
それは性格に関するものから、考え方や価値観まで様々です。
そしてラベリング効果とは、自分や他人にラベリングをしたり、されたりすることによって、何らかの結果が起こる現象のことを言います。
※ラベリング効果の事例
たとえば不良少年は、初めから不良なわけではありません。
周りの大人から「お前は不良少年だ」というラベルを貼られたからこそ、
不良少年として不良行為を行うようになるものなんです。
つまりラベリングの本質とは、自分や他者に「何らかの行動を起こさせる」ことなんです。
このラベリング効果の真の目的である「行動を起こさせること」を常に意識する。
そうすれば、ラベリングは人生をよりよいものにしていく最良の道具になるわけです。
生きづらい人生を楽にするための賢いラベリング効果の使い方
本記事では、下記2つの賢い使い方をお伝えしていきます。
- 自分の短所を長所にラベリングし直して、自分に自信を取り戻す
- ネガティブな感情にこそ、ラベリングをしてストレスを軽くする
ラベリングは自己肯定感を高めることや、自分の気持ちや感情しっかり知って消化するのにも役立つ知識なんです。
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1.自分の短所を長所にラベリングし直して、自分に自信を取り戻す
たとえば自分に自信を持てないとき、自分のことをネガティブにラベリングして決め付けてしまうことがありますよね。
そうした自分に自信を取り戻すためにも、ラベリング効果は利用できるものです。
そうすると自分の短所ばかりが目に付くようになってしまいます。
- 自分は心配性で悩んでばかりだ
- 自分は人見知りでダメだ
しかし短所とはあくまで捉え方の一つにすぎません。
見方を変えれば、長所に置き換えることもできるわけです。
それは長所と短所とは、同じコインの表と裏の関係だからです。
つまり「心配性、人見知り」というラベリングを、
- 「自分は計画性があり物事を慎重に考えられる、思慮深い人だ」
- 「自分は少数の人と深い関係性を築き、大切にできる人だ」
このように自分に対するイメージをポジティブなラベルに貼り変えるだけで、自分への印象はずいぶん変わるはずなんです。
そしてラベリングし直しただけで終わってはいけません。
重要なのは、自分の行動がどう変わるかということだからです。
ラベリングを使って行動を起こさせる
これまで「自分は心配性だ」と思っていたときは、いつも心配ばかりして、そんな自分を嫌になりがちだったはずです。
しかし「自分は思慮深い」としっかりと実感が持てるくらいにラベリングし直せると、
- ただ心配だけをすることが減る
- 色々なことをより深く考えるようになる
つまりラベリング効果によって「どう行動が変わるか」というところまでを意識することが大切なんです。
行動が変われば、それが習慣となります。
習慣となれば、それは人格の一部となります。
人格の一部となれば、結果的に自分に自分を取り戻せるようにもなるはずです。
このように少し見方を変えてラベリングし直すだけでも、自分への否定的な捉え方は少しずつでも変えていけるものなんです。
誰しもが、自分や他者のことを決め付けたがるもの
人は自分自身にも他人にも、ラベリングをしたがるものです。
それはその方が楽だからであり、同時にあいまいでよく分からない人には不安を感じやすいからです。
そもそも誰しもが性格も気質も複雑なものであり、一言で「あの人は、〇〇な人だ」と決め付けられるものではありません。
しかもそうして貼り付けるラベルは、ほとんど全てが個々人の主観であり、根拠が薄いものです。
だからこそ、他人によるネガティブなラベリング効果を、真に受けないようにするということです。
特に一度ラベリングされたイメージは、なかなか変えられません。
それはたとえば初対面の人に対する第一印象はなかなか変わらないように、人は無意識に一度決め付けた考え方・見方を強化する傾向があるからです。
2.ネガティブな感情にこそ、ラベリングをしてストレスを軽減する
ストレスに弱い人ほど、自分のネガティブな感情を消化するのが苦手で、いつまでもモヤモヤしてしまう傾向があります。
それは、たとえば「なんか嫌だ、不安だ」という漠然とした気持ちを感じたとき、
人はそのネガティブな感情の原因や正体があいまいなままだと、その感情をきちんと消化できないからです。
だからこそ常にラベリング効果を使って、自分のネガティブな感情に具体的な名前をつけてラベリングすることで、その正体を掴んでおくべきなんです。
先ほどのたとえで言えば、「なんか嫌だ、不安だ」という一つのラベルだけで気持ちを捉えるのではなく、その嫌だという気持ちは具体的に、
- 罪悪感なのか
- 羞恥心なのか
- 屈辱感なのか
- 怒りなのか
- 嫉妬心なのか
このように嫌な感情を明確にして感じるということです。
生きづらい人ほど、ネガティブな感情へのラベリングができていないことで、感情の消化ができずに苦しい思いをしがちなんです。
自分の状態に名前を付けた方が精神的に楽になる
たとえば、仕事でミスをして怒られて「なんか嫌だ」と感じたとき、
その「なんか嫌だ」の中には、様々な気持ちや思いが含まれているはずなんです。
一例を挙げると、
- ミスをする自分への自責感、自己嫌悪
- 職場の人達の前で怒られて恥ずかしいという羞恥心
- 同僚と一緒に進めてきた仕事に穴を開けてしまったことへの罪悪感
- 怒られてことに対する恐怖心
- 上司から失望されたんじゃないかという見捨てられ不安
- ミスの責任の全てが自分だけではないという不満や怒り
たった一つの出来事に関して感じた「嫌だ」という感情の中には、ここまで多くの気持ちがあいまいなまま隠れていたことになります。
こうしてラベリング効果により、自分が何に対して動揺していたのかが明確に分かると、分かった分だけ気持ちは楽になっていくはずです。
つまりネガティブな感情にこそラベリングをすることで、ストレスは軽くしていくことができるというわけです。
ラベリング効果だけじゃない!?自分を苦しめている心の仕組みについて
ラベリング、すなわちレッテル貼りは誰しもが行ってしまうものです。
しかし、こうしたラベリング効果は影響力が強いからこそ、
「自分を苦しめる使い方をしてしまっていないか」
ということを改めて意識する必要があるんです。
さらに自分を苦しめるのは、ネガティブなラベリング効果だけではありません。
- 他人に嫌悪を感じてしまう「投影同一視」
- 「嫌な自分」を自分自身から隠す「スプリッティング」
こうした心理学の分野で解き明かされている心の仕組みは、数多くあります。
そうした知識を一つでも知ることが、より生きやすい人生を歩む手助けとなるはずです。